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「空き巣は昔からある犯罪。新しい問題じゃない」——そう感じている方も多いかもしれません。しかし2023年には侵入窃盗の認知件数が前年比20.9%増と急増し、その背後には従来とは異なる新型犯罪組織「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」の影響があることも明らかになっています。空き巣は「古い犯罪」ではなく、今まさに進化・組織化している脅威です。
本記事では、空き巣の最新統計・トクリュウとの関係・侵入口と手口の詳細・狙われやすい家の特徴・今すぐ実践できる具体的な対策を徹底解説します。
空き巣の現状——2023年に急増、2024年も43,036件
警察庁「令和6年の刑法犯に関する統計資料」によると、侵入窃盗の手口を確認すると最も多い手口が「空き巣」で全体の60%以上を占めています。
2024年の侵入窃盗の認知件数は43,036件でした。前年の44,228件(2023年・前年比20.9%増)からは若干減少しましたが、発生場所別で見ると、2024年には全体の41.6%にあたる16,962件の侵入窃盗が「住宅」で発生していました。これは1日に約46件のペースで侵入窃盗被害が発生していた計算になります。
2002年の338,294件と比較すれば大幅に減少していますが、「減ったから安全」とは言えません。むしろ犯行の「組織化・計画化」が進んでおり、トクリュウの関与による窃盗被害が新たな脅威として台頭しています。
侵入窃盗の手口のうち、「空き巣」は留守宅に侵入する手口ですが、「忍込み」は夜間家人が就寝中に侵入する手口で、「居空き」は家人が在宅中に気づかれないように侵入する手口を指します。侵入窃盗の約1/3は大胆にも家人が在宅中に侵入しているということです。「空き巣は留守中だけ」という認識は今や通用しません。
トクリュウと空き巣——組織化・計画化が進む窃盗犯罪
トクリュウが窃盗に関与する実態
トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)は、特殊詐欺・強盗だけでなく窃盗犯罪にも深く関与しています。令和7年版組織犯罪の情勢によれば、全国の警察が2024年1年間に摘発したトクリュウの容疑者は前年比2割増の計1万2,178人に上りました。資金獲得犯罪の罪種別では詐欺が最多の約46%で、薬物事犯が約28%、窃盗が約15%と続きます。
窃盗が資金獲得犯罪全体の約15%を占めるということは、2024年のトクリュウ摘発者数6,679人(資金獲得犯罪)に当てはめると、約1,000人以上が窃盗目的で摘発されたことになります。組織的に計画・実行される空き巣は、個人の窃盗犯とは質が異なります。
トクリュウの空き巣が「普通の空き巣」と違う点
事前の下見と情報収集が徹底している
トクリュウによる空き巣では、指示役が実行役に詳細な下見・情報収集を指示します。「防犯カメラの位置・死角」「住人の在宅時間帯・行動パターン」「脱出経路」を事前に把握したうえで犯行に臨む計画的な犯行が増えています。
役割分担による犯行
下見役・実行役・見張り役・逃走車両の運転役など、役割を分担した組織的な犯行が行われます。実行役はSNSの「闇バイト」で都度募集される素人の若者であっても、指示役の指示通りに動くだけでいいため、計画性・組織性は高いままです。
実行役の「使い捨て」構造
中核的人物は応募者に犯行を実行させます。応募者が犯行を躊躇したり、グループからの離脱意思を示したりした場合には、個人情報を把握しているという優位性を利用して脅迫し服従させ、実行犯として繰り返し犯罪に加担させます。実行役が逮捕されても指示役の特定が難しく、組織は活動を継続します。
このような背景から、「防犯対策がない家」への繰り返し被害・地域全体を計画的に狙う広域的な窃盗が増加しています。
空き巣の侵入口と手口——統計から読み解く弱点
侵入口の実態——「窓」と「玄関」で7割以上
警察庁が公表している「侵入窃盗の侵入口」(令和6年(2024年))のデータを見ると、一戸建て住宅やマンションなどの共同住宅では、いずれの形態の住宅でも「窓」と「表出入口」からの侵入が全体の7割以上を占めています。
住宅形態別に見ると、一戸建て住宅では「窓」からの侵入が最も多くなっています。庭木や塀で死角になりやすい掃き出し窓・浴室の窓・勝手口が特に狙われます。共同住宅(マンション・アパート)では玄関(表出入口)からの無締まり侵入が多く、「少しの外出だから」という油断が被害を招きます。
侵入手口の実態——半数近くが「無締まり」
侵入方法別の認知件数を見ると、鍵の閉め忘れを意味する「無締り」が最も多く47.8%と全体の約半数を占めています。次いで多いのが「ガラス破り」で30.1%となっています。ピッキングやサムターン回しなど、いわゆる「施錠開け」の手口は対策されたドアや錠が増えたこともあり年々減少しており、8.5%にとどまりました。
つまり空き巣被害の約半数は「施錠さえしていれば防げた被害」です。窃盗犯は「鍵をかけ忘れている窓はないか」「周囲に気づかれずに破ることのできる窓はないか」という視点から標的を物色するといわれています。
主な手口の詳細
ガラス破り(打ち破り・こじ破り)
ハンマーや工具でガラスを割り、内側のクレセント錠を回して解錠する手口です。通常のガラスであれば数十秒〜1分で割れるため、防犯フィルムによる強化が有効です。
合鍵使用
前の入居者が持ったままの鍵・落とした鍵を拾った人物・複製された鍵を使った侵入です。住宅に「合鍵」を使って「表出入口」から侵入する手口の侵入窃盗の認知件数は、年間931件にのぼります。入居時の鍵交換・鍵の紛失後の錠前交換が重要な理由です。
サムターン回し
ドアスコープや郵便受けから専用器具を差し込み、内側のサムターン(鍵の摘み)を回して解錠する手口です。サムターンカバー・サムターン回し対策錠への交換が有効です。
狙われやすい家の特徴——下見でチェックされるポイント
空き巣犯は犯行前に必ず下見を行います。下見の段階で「この家は入りにくい」と判断させることが被害防止の核心です。以下の特徴がある家は「入りやすい」とターゲットにされやすくなります。
防犯設備がない
センサーライト・防犯カメラ・警備会社のステッカーが何もない家は「防犯意識が低い・入りやすい」と見なされます。逆にこれらの設備が揃っている家は下見の段階で敬遠されやすくなります。
死角が多い
庭木・塀・フェンスが道路からの視線を遮っていると、侵入・逃走時に外から見えにくくなります。プライバシー確保と防犯上の死角排除はトレードオフになりやすい点に注意が必要です。
留守のサインがある
郵便物がポストに溜まっている・洗濯物が長期間干しっぱなし・夜間に全く明かりがつかない・カーテンが何日も動いていない家は「長期不在」のサインとして認識されます。
照明が暗い
玄関・駐車場・裏口に照明がない・夜間の死角が多い家は、侵入時・逃走時に目撃されにくいため狙われやすくなります。
窓・玄関の防犯対策がない
補助錠のない玄関・防犯フィルムのない窓・センサーアラームのない1階の窓は、「短時間で侵入できる」と判断されます。
今すぐできる空き巣対策——優先順位別の具体的な方法
最優先:施錠の徹底(コスト:ゼロ)
空き巣を始めとした侵入窃盗の多くは、鍵の掛かっていない箇所から侵入しています。どんなに強固な建物部品を設置しても、鍵を掛けなくては全く意味がありません。「少しの間だから大丈夫」と玄関などの鍵を掛けないままゴミ出しに行ったり、洗濯物を干したりすることがないよう、日頃から少しの外出などの場合でも必ず施錠をする習慣を身に付けましょう。
施錠の確認習慣として「外出前に必ず全窓・玄関・勝手口の施錠を指差し確認する」「ゴミ出しでも必ず鍵をかける」という行動を日常に組み込んでください。スマートロック(IoT鍵)を導入することで、外出先から施錠状態の確認・遠隔施錠ができるようになります。
優先度高:センサーライトの設置(コスト:数千円〜)
夜間に人が近づくと自動点灯するセンサーライトは、「動きが感知された」という心理的プレッシャーを侵入犯に与えます。玄関・駐車場・裏口・庭の暗い箇所への設置が特に有効です。防犯カメラの夜間映像品質向上にも役立ちます。防犯目的には500ルーメン以上の明るさが目安です。
優先度高:補助錠の追加(コスト:1,000〜数千円)
玄関ドアへの補助錠追加・窓のクレセント錠への補助ロック設置は、数千円で実施できる費用対効果の高い対策です。侵入に5分以上かかると判断した場合、約7割の窃盗犯が諦めるとされており、「2つ目の鍵を解錠する時間」が「5分の壁」を作ります。賃貸住宅でも原状回復可能な後付け補助錠が多数販売されています。
優先度高:防犯カメラの設置(コスト:数万円〜)
防犯カメラは「下見の段階で犯行を断念させる」最も効果的な設備です。刑法犯全体における犯人特定の端緒として「防犯カメラ等の画像」が占める割合は、2016年の4.6%から2024年には17.6%と約3.8倍に増加しています。「防犯カメラに映ると逮捕につながる」という認識が犯罪者側に広まっており、設置されているだけで強い抑止力として機能します。
特にトクリュウによる組織的な空き巣への対策として、AI人物検知搭載モデルを選ぶことで、深夜の下見・不審者の接近をスマートフォンに即時通知できます。複数台を設置して死角をなくすことが重要で、「どこからアクセスしてもカメラに映る」環境が犯行を根本から阻止します。
優先度中:防犯フィルムの全面貼り(コスト:数千円〜)
窓に補助錠を取り付ける、窓ガラスの全面に防犯フィルムを貼るといった対策も有効です。防犯フィルムは全面貼りが必須条件です。クレセント錠周辺だけに貼る「部分貼り」では、フィルムの外側のガラスを割って手を差し込まれてしまいます。CPマーク認定製品(厚さ350ミクロン以上)を選び、ガラス全面に貼ることで「ガラス破りに時間がかかる窓」を実現できます。
優先度中:留守を悟らせない工夫(コスト:ほぼゼロ)
旅行・帰省などの長期不在時には、郵便物の一時停止(郵便局での手続き)・タイマー式照明の活用・近隣への声かけを行ってください。SNSへの旅行投稿は帰宅後にまとめて行うことを習慣にしてください。リアルタイムの投稿は不特定多数に「今家が空いています」と伝えることと同義です。
優先度中:窓・玄関のアラーム設置(コスト:数千円)
窓の開閉センサー・振動センサーはホームセンターで数千円から購入できます。窓を割られた・開けられた瞬間に大音量アラームが鳴り、侵入犯を驚かせ近隣への異常の知らせとなります。就寝中・外出中の早期察知に特に有効です。
空き巣対策のチェックリスト——今日から始める防犯習慣
外出前・就寝前に以下を確認する習慣をつけることで、被害リスクを大幅に下げられます。
施錠の確認(毎日) 玄関ドア(補助錠含む全施錠)、すべての窓(1階・2階・ベランダ・浴室・トイレ含む)、勝手口・駐車場側のドア、を確認してください。
定期的なメンテナンス(月1回) センサーライトの動作確認・電池残量確認、防犯カメラの録画確認・レンズ清掃、補助錠のネジの緩みや動作確認を行ってください。
長期不在前(旅行・帰省など) 郵便物の一時停止(郵便局へ連絡)、タイマー式照明の設定、近隣への声かけ、SNS投稿は帰宅後にまとめて行う、を実施してください。
まとめ
空き巣は2023年に急増し、その背後にはトクリュウによる組織的・計画的な窃盗の拡大があります。「防犯設備がなく・施錠が甘く・留守のサインがある家」が真っ先に標的になります。
最も確実な対策は「施錠の徹底」です。コストゼロで今日から始められます。そのうえでセンサーライト・補助錠・防犯カメラ・防犯フィルムを組み合わせることで、「侵入に時間がかかる・目撃される・証拠が残る」という複数の壁を持つ家を実現できます。
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※参考:警察庁「令和6年の刑法犯に関する統計資料」(https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/R06/r06keihouhantoukeisiryou.pdf) ※参考:ALSOK「最新の統計データから読み解く侵入窃盗の傾向と防犯対策」(https://www.alsok.co.jp/person/recommend/071/) ※参考:政府広報オンライン「空き巣や強盗から命と財産を守る住まいの防犯対策」(https://www.gov-online.go.jp/article/202310/entry-9977.html) ※参考:株式会社エス・ピー・ネットワーク「組織犯罪対策や治安対策の転換点だ〜暴力団とトクリュウの一体化に備えよ」(https://www.sp-network.co.jp/column-report/column/bouhi/candr0366.html)
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