
「防犯のために設置した防犯カメラの映像が、知らないうちに世界中から見られていた」——このような事態が実際に起きています。防犯カメラはネットワークに接続された瞬間から、不正アクセスの標的になりうる「IoT機器」です。
本記事では2025年以降に発生した実際のハッキング被害事例・なぜ防犯カメラが狙われるのか・今すぐ実施すべき7つのセキュリティ対策を解説します。
2025年以降の防犯カメラハッキング被害——他人事ではない現実
事例① 保育園・工場・個人宅の映像500件が海外サイトに流出(2025年11月)
2025年11月、国内の保育園・工場・個人宅に設置されたIPカメラ(ネットワークカメラ)の映像が、海外の動画共有サイトに無断掲載されていることが発覚しました。流出した映像は約500件に上り、子どもたちの保育の様子・工場内の作業風景・個人宅のリビングや寝室が含まれていました。
被害に遭ったカメラに共通していたのは「初期パスワードを変更していなかった」という一点です。メーカーが設定した初期パスワード(「admin」「1234」「password」など)のまま使用し続けていたため、誰でもアクセスできる状態になっていました。
事例② 韓国でIPカメラ12万台がハッキング(2025年)
韓国では2025年にIPカメラ12万台以上がハッキングされ、盗撮された映像が性的搾取目的で利用される深刻な事件が発生しました。被害はIPカメラを設置した一般家庭・店舗・施設に及び、社会問題として大きく報道されました。
日本でも同様の手口による被害が発生するリスクは常に存在しており、他国の事例を「対岸の火事」として見ることはできません。
事例③ 国土交通省の河川監視カメラに不正アクセス(2023年1月)
2023年1月、国土交通省が管理する河川の水位・映像を監視するネットワークカメラへの不正アクセスが確認されました。「公的インフラのカメラでさえ狙われる」という事実は、セキュリティ予算が豊富な機関でも被害に遭うことを示しています。セキュリティ対策が手薄な中小企業・個人宅のカメラが狙われないと考える根拠はありません。
事例④ DVR製品へのMiraiボット感染が継続(2024年〜)
NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)のサイバーセキュリティ研究室が公開した「NICTER観測レポート2024」では、2021年以降継続して観測されているDVR製品へのMiraiボット感染が2024年も活発であったことが記録されています。
Miraiとは、脆弱なIoT機器(防犯カメラ・DVRなど)に感染して大規模なサイバー攻撃の踏み台として悪用するマルウェアです。感染した機器はオーナーが知らないうちに「攻撃の加害者」になるリスクがあります。
総務省NOTICEプロジェクト——「password」「admin」で今もログインできる機器が存在する
総務省とNICTは2019年から「NOTICEプロジェクト」を継続実施しています。このプロジェクトでは、実際に「password」「123456」「admin」「888888」といった推測されやすいIDとパスワードを入力して、国内のIoT機器にログインできてしまう脆弱な機器を特定しています。
2024年の調査でも、ログインできてしまう機器(カメラ・DVR・ルーターを含む)が一定数確認されています。「自分のカメラは大丈夫」という根拠がなければ、今すぐ確認が必要です。
なぜ防犯カメラは狙われやすいのか——3つの構造的な脆弱性
脆弱性① デフォルトパスワードが変更されていない
防犯カメラ・DVRは出荷時に「admin/admin」「admin/12345」「admin/password」といった共通の初期パスワードが設定されています。攻撃者はこれらの初期パスワードをリスト化したツールを使って、インターネット上のカメラに自動的にログインを試みます。
初期パスワードを変更せずにネットワークに接続した瞬間から、このような総当たり攻撃の標的になります。
脆弱性② ファームウェアが更新されていない
防犯カメラ・DVRのファームウェアには定期的にセキュリティの脆弱性が発見されます。メーカーは脆弱性を修正したファームウェアをアップデートとして提供しますが、ユーザーがアップデートを実施しないと「既知の穴」が開いたままの状態が継続します。
「設置時から一度もファームウェアを更新していない」というカメラは、過去に発見されたすべての脆弱性を抱えたまま稼働しているという危険な状態です。
脆弱性③ UPnPが有効のまま・不要なポートが開放されている
UPnP(Universal Plug and Play)はネットワーク機器を自動的に接続・設定する機能ですが、この機能が有効になっていると意図しない形で外部からカメラにアクセスできる状態になることがあります。カメラの設定で不要なポートが開放されたままになっているケースも攻撃の入口になります。
今すぐ実施すべき7つのセキュリティ対策
対策① パスワードを必ず変更する——最優先・最重要
これが唯一の最優先事項です。 カメラ・DVR・NVRの管理者パスワードを初期設定から変更することが、ハッキング被害を防ぐ最も重要な対策です。
強力なパスワードの条件として、8文字以上(12文字以上を推奨)、英大文字・英小文字・数字・記号の組み合わせ、予測しやすい単語・誕生日・連番(123456)は避けることが重要です。
変更したパスワードは安全な場所に記録しておいてください(付箋で機器に貼るのは厳禁です)。
対策② ファームウェアを最新版に更新する
カメラ・DVR・NVRのファームウェアが最新版になっているかを確認し、古い場合は更新してください。ファームウェアの確認・更新方法は製品の管理画面(ブラウザまたはアプリ)から行えます。自動更新に対応している機器はオン設定にしておくことを推奨します。
NSKダイレクトショップでは最新ファームウェアの入手方法・更新手順についてもサポートしています。型番をお知らせいただければご案内可能です。
対策③ UPnPを無効にする
ルーターのUPnP機能を無効にすることで、機器が自動的に外部からアクセスできる設定になることを防げます。ルーターの管理画面(通常は192.168.1.1または192.168.0.1)にアクセスして設定を確認してください。
対策④ カメラをVLAN・専用のネットワークに分離する
可能であれば、防犯カメラ・DVR用のネットワークを業務用・家庭用ネットワークとは別のVLAN(仮想LAN)や独立したルーターで分離してください。
カメラが不正アクセスされても、同じネットワーク上にある他の機器(パソコン・スマートフォン・NAS)への被害が拡大するリスクを大幅に低減できます。
対策⑤ 不要な外部公開ポートを閉じる
スマートフォンからカメラの映像を外出先で確認するために、ルーターのポートを外部に公開(ポートフォワーディング)している場合があります。必要最小限のポートのみを開放し、不要なポートはすべて閉じてください。
P2P接続(クラウド経由の接続)に対応しているカメラは、ポートを外部公開せずにクラウドを経由して映像確認が可能なため、直接ポートを開放するよりセキュリティが高くなります。
対策⑥ アクセスログを定期的に確認する
DVR・NVRの管理画面にはアクセスログ(誰がいつログインしたか)が記録されています。定期的にログを確認して、覚えのないログイン履歴・異常なアクセスがないかを確認してください。
「ログインに失敗した記録が大量にある」「知らない時間帯にログインがある」という場合はパスワードの変更と管理者への相談を速やかに行ってください。
対策⑦ 信頼できるメーカーの製品を選ぶ
セキュリティへの取り組みが不明瞭な格安メーカーの製品は、脆弱性が放置されても修正ファームウェアが提供されないリスクがあります。技適マーク取得済みで、脆弱性発見時のファームウェア更新対応が実績として確認できるメーカーの製品を選んでください。
NSKダイレクトショップが取り扱うX-ProシリーズIPカメラはすべて技適マーク取得済みです。脆弱性への対応ファームウェアが必要な場合はNSKダイレクトショップへお問い合わせください。
ハッキングされているかもしれないサイン
以下の症状が出ている場合は、カメラが不正アクセスされている可能性があります。
映像が異常に重い・コマ落ちが激しい(処理能力が外部に使われている可能性)、カメラのレンズが意図せず動く(PTZカメラの場合、外部から操作されている可能性)、管理画面のパスワードが突然変わってログインできなくなった、見覚えのないユーザーアカウントが管理画面に追加されている、通信量が急に増加したという症状が確認された場合は、速やかにカメラをネットワークから切断して、パスワードの変更・ファームウェアの更新を実施してください。
深刻な被害が疑われる場合は、警察(サイバー犯罪相談窓口)または個人情報保護委員会への通報も検討してください。
有線カメラ(PoE)とワイヤレスカメラのセキュリティの違い
有線LAN(PoE)接続のX-ProシリーズIPカメラは、LAN内でのみ通信するよう適切に設定することで、外部からの不正アクセスリスクをワイヤレスカメラより限定的に管理できます。
ワイヤレスカメラ(Wi-Fi接続)は利便性が高い反面、Wi-Fiのパスワード強度・暗号化方式(WPA3が推奨)の設定が重要になります。暗号化方式が古い(WEP・WPA)場合は電波が傍受されるリスクが高まります。
いずれの方式でも、本記事で解説した7つの対策を実施することが基本です。
➡ X-ProシリーズIPカメラの選び方・ラインナップはこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/11979/
➡ X-Pro IPカメラシリーズの商品一覧はこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/category/item/x_pro/
まとめ——「設置したら終わり」ではなくセキュリティ運用が必要
防犯カメラは「設置したら終わり」ではありません。ネットワークに接続されたIoT機器として、継続的なセキュリティ管理が必要です。
パスワードの変更(最優先)、ファームウェアの定期更新、UPnPの無効化、ネットワークの分離、不要ポートの閉鎖、ログの定期確認、信頼できるメーカーの製品選択——この7つを実施することで、防犯カメラのハッキング被害を大幅に低減できます。
「自分のカメラは大丈夫」という根拠がない方は、今すぐパスワードの確認から始めてください。
セキュリティ設定についてのご相談・ファームウェアのご案内はNSKダイレクトショップへお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ:https://n-sk.jp/consumer/directshop/contact/
※参考:NICT「NICTER観測レポート2024」(https://www.nict.go.jp/press/2025/03/05-1.html) ※参考:総務省・NICT「NOTICEプロジェクト」(https://notice.go.jp/) ※参考:個人情報保護委員会「カメラ画像の取扱いに関するガイドライン」(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/camera_guidance.pdf)
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