防犯カメラのハッキングについて、実際の状況と対処法にについて

1. 防犯カメラ映像はハッキングされているのか?

結論から言えば、ハッキングされている防犯カメラは確実に存在します。世界中の防犯カメラ映像を一覧で表示しているサイトも存在しており、しかもそのサイトは誰でも閲覧できるようになっています。特にそうしたサイトで見られる防犯カメラ映像には日本国内のカメラが多く、もしかしたらご自身の自宅も公開されているかもしれません。

日本国内では、2018年に埼玉県上尾市の河川監視カメラに突如「I’m Hacked. Bye2」(私はハッキングされました)という文字が表示されたことで話題になりました。同じような手口によるハッキングは日本全国で発生しており、ネットワークカメラは現在もサイバー攻撃の主要な標的の一つであり続けています。

2. 政府・公的機関が示す脅威の実態

防犯カメラへのサイバー攻撃の深刻さは、国の研究機関が公表するデータからも明確に裏付けられています。

2024年のサイバー攻撃は過去最高を記録(NICT)

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が運営するNICTERプロジェクトは、国内外30万以上の未使用IPアドレス(ダークネット)を観測網として活用し、インターネット上のサイバー攻撃関連通信をリアルタイムで観測・分析しています。

2025年2月に公開された「NICTER観測レポート2024」によると、2024年に観測されたサイバー攻撃関連通信は前年比11%増の約6,862億パケットに達し、過去最高を記録しました。これは10年前と比べて約11倍にのぼる規模です。

さらに重要なのが攻撃対象の内訳です。WebカメラやホームルーターなどのIoT機器に関連したサイバー攻撃関連通信が、観測パケットの主要な割合を占めていることが確認されています。また日本国内では、1日あたり平均約2,600台のIoT機器がマルウェア(IoTボット)に感染している状況が報告されており、感染台数は1日あたり最大で11,500台に達する日もありました。

出典:NICT「NICTER観測レポート2024の公開」(2025年2月13日) https://www.nict.go.jp/press/2025/02/13-1.html

DVR・ネットワークカメラへの感染が継続

同レポートでは、2021年以降継続して観測されているDVR製品へのMiraiボット感染が2024年も活発であったことが記録されています。また、NICT研究者によるプレゼンテーション資料(2025年2月)では、NOTICEプロジェクトの調査対象として「ブロードバンドルータ、レコーダー、カメラ」が明記されており、ネットワークカメラが継続的な脅威にさらされていることが公式に確認されています。

総務省・NICTによるNOTICEプロジェクト

こうした深刻な状況を受け、総務省とNICTは2019年2月から「NOTICE(National Operation Towards IoT Clean Environment)」プロジェクトを開始しています。このプロジェクトでは、国内のIoT機器に対して実際に「password」「123456」「admin」「888888」といった推測されやすいIDとパスワードを入力し、ログインできてしまう脆弱な機器を特定。該当機器の情報をISP(インターネットサービスプロバイダ)経由で利用者に通知・注意喚起しています。

2024年4月からは対象範囲がさらに拡大され、パスワードの脆弱性に加えて**「ファームウェアに脆弱性があるIoT機器」「すでにマルウェアに感染しているIoT機器」**も調査対象に追加されました。これまでに約14万件の脆弱なIoT機器を特定し、注意喚起を実施しています。

出典:総務省・NICT「IoT機器のセキュリティ向上を推進する新しい「NOTICE」を開始」(2024年3月29日) https://www.nict.go.jp/press/2024/03/29-2.html

出典:総務省「IoT機器調査及び利用者への注意喚起の取組「NOTICE」の実施」 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01cyber01_02000001_00011.html

3. 防犯カメラがハッキングされている場合のサイン

防犯カメラがハッキングされている場合は少なからず動作に支障が出ます。以下のような症状が見られた場合は注意が必要です。ハッカーは特にいたずら目的でハッキングしてくることがあり、面白半分で痕跡を残してくることもあります。

映像・動作面のサイン

  • 映像が急に重たくなってカクカクした動きになった
  • 設定が知らない間に勝手に変わっていた
  • PTZカメラでレンズの向きが身に覚えなく変わっていた
  • カメラが頻繁に再起動を繰り返す
  • 画質が突然低下した

ネットワーク・ログイン面のサイン

  • 管理画面にログインできなくなった(パスワードを無断変更された可能性)
  • 見覚えのないユーザーアカウントが追加されていた
  • ルーターの通信量が急激に増加している
  • インターネット全体の速度が極端に低下した

これらの症状が複数見られる場合は、後述の対処法を速やかに実施し、必要に応じて機器のリセットや交換を検討してください。

4. ハッキングされると起きる被害

防犯カメラがハッキングされていた場合、自身のプライバシーが侵害される恐れがあります。また防犯カメラで取得した映像をインターネットに公開するのは犯罪です。そのような映像を勝手に公開されないように対策する必要があります。

防犯カメラの設定を勝手に変更できてしまう場合、パスワードを変更されたり、同じネットワーク内にあるパソコンなどを乗っ取られる可能性もあります。そうした場合、プライバシーの侵害だけではなく、クレジットカードなどの個人情報を盗まれて不正使用されるなど二次被害にも気をつけなければいけません。具体的な被害の種類は以下のとおりです。

プライバシー侵害 室内・寝室・子ども部屋などの映像が第三者にリアルタイム閲覧・録画され、インターネット上に無断公開される

個人情報・金融情報の流出 同じネットワーク内のパソコンやスマートフォンへの侵入を経由して、ログイン情報・クレジットカード情報・銀行口座情報などが盗まれ、不正使用される

DDoS攻撃の踏み台にされる 自分のカメラが乗っ取られた機器の一つとして第三者へのサイバー攻撃に加担させられ、意図せず犯罪行為に加担する状態になる。前述のMiraiボットがこの手口の代表例で、感染したカメラが一斉にDDoS攻撃に使われた

空き巣・強盗の下見に悪用される カメラ映像から家の間取り・生活パターン・不在時間帯を把握され、犯行の標的にされる

5. 対処法① パスワードを設定する

防犯カメラをハッキングの被害から守るためには、まず一番大事なのは機器のパスワードをしっかり設定することです。ハッキングされる原因の一つとしてパスワードを初期設定のまま使っていることが挙げられます。

NOTICEプロジェクトの調査では、「password」「123456」「admin」「888888」「1111」といった推測されやすいパスワードを使用している機器が、国内に数多く存在することが確認されています。総務省・NICTが公表しているNOTICEの資料では、推測されにくい強い管理者パスワードの3つの条件として以下が明示されています。

  1. 英大文字・小文字・数字・記号を含む
  2. 十分な長さ(8文字以上、できれば12文字以上)にする
  3. 他のサービスで使いまわしていないパスワードにする

また、ハッキングの手法の一つに「総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)」と呼ばれる、考えられるすべてのパスワードを自動でランダムに試し続ける方法があります。例えば英字のみ6桁のパスワードの場合、すべての組み合わせを試すのに20分程度しかかかりません。できる限り長く、大文字・小文字・数字・記号を組み合わせたパスワードにすることで、解読に必要な時間を現実的でない水準まで引き上げることができます。

また、カメラ本体・NVR・ルーターそれぞれに異なるパスワードを設定することも重要です。1つの機器のパスワードが漏れても、他の機器への被害拡大を防ぐことができます。

参考:NOTICE公式サイト「ルーター / ネットワークカメラの安全な管理方法」 https://notice.go.jp/

6. 対処法② ファームウェアを最新の状態に保つ

パスワード変更と並んで重要なのが、ファームウェアの定期的なアップデートです。ファームウェアとはカメラやNVRに組み込まれたソフトウェアのことで、発見されたセキュリティの脆弱性はファームウェアのアップデートによって修正されます。

前述のとおり、2024年4月以降のNOTICEプロジェクトでは「ファームウェアに脆弱性があるIoT機器」が新たな調査・注意喚起の対象に加わりました。これは、近年のマルウェア(Miraiの亜種など)が単純なパスワード攻撃だけでなく、ファームウェアの脆弱性を悪用して感染するケースが急増しているためです。NOTICEの資料でも「ファームウェアに脆弱性が発見されると、修正プログラムがメーカーのウェブサイトで公開されることがあります。メーカーのウェブサイトにファームウェアの最新版があるかを確認し、更新してください」と明記されています。

定期的にメーカーの公式サイトを確認し、新しいファームウェアが公開されていたら速やかに更新するようにしましょう。

出典:総務省・NICT「IoT機器のセキュリティ向上を推進する新しい「NOTICE」を開始」 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01cyber01_02000001_00200.html

7. 対処法③ 使わない機能を無効にする

防犯カメラやNVRには、外部からのリモートアクセスを可能にするための機能が搭載されていることがあります。こうした機能を使っていない場合は、無効にしておくことでハッキングのリスクを大幅に下げることができます。

NOTICEの資料でも「スマホやパソコンを使用して、外出先からインターネットを経由して管理機能を操作できるルーターやネットワークカメラがあります。これらの機能を普段使用しない場合は、第三者から操作されることが起きないようにその機能を無効にするなどの対策が必要です」と明記されています。

具体的に確認・無効化を検討したい機能としては以下があります。

  • UPnP(Universal Plug and Play): ルーターが自動的にポートを開放する機能。ハッキングに悪用されやすいため、使用していない場合は無効推奨
  • Telnet: 古い遠隔接続プロトコル。セキュリティ上の問題が多く、無効にすべき
  • リモート管理機能(HTTPS以外): 暗号化されていない通信での管理機能は無効にする
  • 使用していないポートの開放(ポートフォワーディング): 最小限のポートのみ開放し、不要なポートは閉じる

8. 対処法④ インターネットにつながない選択も

どうしても防犯カメラ映像がハッキングされているのか不安であれば、インターネットに接続せずに使うという方法もあります。インターネットにつなぐことがなければ外部からのハッキングはされませんので、ローカルで録画する・防犯抑止のために設置すると割り切るのも一つの方法です。

また防犯カメラのメーカーや機器によっては脆弱性といって、ハッキングされやすい機器も存在しています。どうしてもインターネットに繋がなければいけないのであれば、信頼性の高いメーカーの機器への交換をご検討ください。

運用方法 ハッキングリスク 遠隔監視 アラート通知 月額費用
オフライン(ローカル録画のみ) 極めて低い できない できない なし
インターネット接続あり+適切な対策 低い スマホから可能 リアルタイム可能 クラウド利用時は発生
インターネット接続あり+対策なし 非常に高い スマホから可能 リアルタイム可能 クラウド利用時は発生

「録画証拠の保存」「侵入抑止」だけを目的とする場合はオフライン運用が最もシンプルで安全です。外出先からのリアルタイム監視やアラート通知が必要な場合は、本記事で紹介した対策を必ず実施した上でインターネットに接続してください。

9. まとめ:今日からできる対策チェックリスト

NICTの観測データが示すとおり、ネットワークカメラへのサイバー攻撃は年々増加しており、日本国内でも毎日数千台のIoT機器が感染被害を受けています。しかし適切な対策を講じることで、ハッキングのリスクは大幅に低減できます。以下のチェックリストで、今日から確認・実施してみてください。

今すぐ確認・設定すべき項目

  • カメラ・NVR・ルーターのパスワードを初期値から変更した
  • パスワードは英大文字・小文字・数字・記号を含む12文字以上にした
  • カメラ・NVR・ルーターそれぞれに異なるパスワードを設定した
  • 使用していない遠隔管理機能・UPnP・Telnetを無効にした

定期的に実施すべき項目

  • メーカーサイトでファームウェアの最新版を確認し、アップデートした
  • カメラ・NVRの設定・ログを確認し、不審な変更がないか確認した
  • ルーターの通信量に異常な増加がないか確認した
  • 6ヶ月〜1年に1回のペースでパスワードを変更している

防犯カメラは設置して終わりではなく、定期的なメンテナンスとセキュリティ確認を継続することが、長期的に安全な運用を維持するための鍵です。製品のセキュリティ設定や機器の見直しについてご不明な点があれば、お気軽にNSKダイレクトショップへお問い合わせください。

参考資料・引用元

お問い合わせ:https://n-sk.jp/consumer/directshop/contact/ X-Pro IPカメラシリーズ:https://n-sk.jp/consumer/directshop/category/item/x_pro/

※本記事の情報は2025年時点のものです。

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