防犯カメラを複数台同時に見る方法—NVR・VMS・分割表示・デコード能力まで

防犯カメラを複数台設置した場合、その映像を同時に確認できてこそ防犯システムとして機能します。「玄関・駐車場・裏口・庭を一画面で一括確認したい」「本部から複数店舗のカメラを一元管理したい」——こうしたニーズに応える映像の同時表示には、正しい方法と事前に知っておくべき技術的なポイントがあります。

本記事では、IPカメラを複数台同時に見るための主な方法(NVR・VMS)・映像の表示方法の種類・デコード能力という重要な台数制限の概念・ライブ映像と録画再生の通信量の違い・アナログカメラの分割方法まで詳しく解説します。

複数台の防犯カメラを同時に見る3つの方法

IPカメラを複数台同時に表示・管理する方法は主に3つあります。それぞれの特長と向いている規模・用途が異なります。

方法① NVR(ネットワークビデオレコーダー)——最も一般的な方法

NVR(Network Video Recorder:ネットワークビデオレコーダー) はIPカメラの映像を録画しながら、接続したモニターに複数カメラの映像を同時表示できる機器です。防犯カメラシステムの中核となる機器で、家庭・店舗・法人施設への導入で最も広く使われています。

NVRの主な特長:

複数のIPカメラをLANケーブル(PoE接続)で接続して一元管理できます。内蔵HDDに長期間(数週間〜数か月)の録画が可能です。4分割・9分割・16分割など複数の分割表示モードに対応しています。モニターに接続してその場での映像確認ができる他、インターネット経由でスマートフォンアプリからの遠隔確認にも対応しています。

NSKダイレクトショップのX-ProシリーズNVRは、カメラ4台用(NX-N401HR)・8台用(NX-N801HR)・16台用(NX-N1601HR)の3モデルをラインナップしています。カメラとNVRをLANケーブルで接続するだけで映像が自動表示されるプラグ&プレイ対応のため、専門知識がなくても4台程度であれば簡単に導入できます。

NVRに向いているケース: 家庭・小規模店舗・1拠点での複数台設置。24時間継続録画が必要な場合。

➡ NVR(ネットワークビデオレコーダー)とは?DVRとの違い・使い方の解説はこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/10713/

方法② VMS(ビデオ管理ソフトウェア)——複数拠点・大規模施設向け

VMS(Video Management Software/System:ビデオマネジメントシステム) はパソコンにインストールして使うIPカメラの管理ソフトウェアです。

NVRが「専用のハードウェア機器」であるのに対して、VMSは「パソコンで動くソフトウェア」という違いがあります。VMSを使うことで以下のことが実現します。複数のIPカメラ・NVRを1台のパソコンで一元管理できます。離れた場所にある別拠点のIPカメラを同一画面に表示できます。VMSをインストールした複数のパソコンで同じカメラ映像を監視できます。センサーやアラームなどの周辺機器の制御も可能な場合があります。

特にチェーン店舗・複数オフィス・大規模施設の本部から全拠点を一括監視するという用途でVMSが活用されます。

重要な注意点: VMSは映像の表示・管理に適していますが、24時間継続録画にはパソコンを24時間つけっぱなしにする必要があり、パソコンへの負荷が大きくなります。録画目的にはNVRを設置し、VMSはパソコンからの管理・モニタリング用として使い分けることが推奨されます。

➡ VMSとは?NVRとの違いや利用シーン・仕組みの解説はこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/10961/

➡ X-Proシリーズで複数拠点・チェーン店を一元管理する方法はこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/12196/

方法③ スマートフォンアプリ(RXCamView)——外出先からの遠隔確認

X-ProシリーズIPカメラは専用スマートフォンアプリ「RXCamView」(iOS・Android対応)に対応しています。NVRをインターネットに接続することで、外出先のスマートフォンからリアルタイムの複数カメラ映像確認・録画データの再生・AI検知通知の受信が可能になります。

複数のNVRを同一アカウントに登録することで、複数拠点のカメラをアプリ内で切り替えながら確認できます。本部への据え置き監視はVMS、外出中の確認はスマートフォンアプリという使い分けが実践的な運用スタイルです。

映像の表示方法——分割表示・シーケンシャル表示の種類

複数台のカメラ映像を1つの画面に表示する方法には、いくつかの種類があります。

分割表示(グリッド表示)

1つの画面を格子状に分割して複数カメラの映像を同時表示する方法です。代表的な分割パターンとして2×2(4分割)、3×3(9分割)、4×4(16分割)があります。また8分割と呼ばれる特殊な表示方法もあり、1台のカメラ映像を大きく表示しながらその周囲に7台のカメラ映像を小さく表示する非対称な分割表示です。メインとなるカメラを大きく・補助的なカメラを小さく表示したい場合に有効です。

分割表示の特長は「全カメラの映像を一目で把握できる」ことです。ただし1台あたりの表示サイズが小さくなるため、人物の顔・ナンバープレートなどの細部確認には映像を拡大する操作が必要になります。

シーケンシャル表示(オートスキャン)

カメラを1台ずつ順番に切り替えながら全画面(または大画面)で表示していく方法です。「5秒ごとにカメラ1→カメラ2→カメラ3…と自動で切り替わる」という表示方式です。

各カメラの映像を大きなサイズで確認できるため、細部の識別が必要な場合に有効です。ただし「全カメラの映像を同時に把握する」という用途には向かず、切り替わるタイミングで異変があっても見逃す可能性があります。監視員が常駐している環境で詳細確認に使うのが適切な用途です。

NVRの設定でシーケンシャル表示の切り替え間隔(秒数)を設定できます。

スポット表示・カスタム分割

特定のカメラ映像だけを選んで任意のサイズで表示するカスタム分割表示も可能です。「メインエリアのカメラは大きく・補助エリアのカメラは小さく」というレイアウトを設定して、施設の実際の配置に合わせた表示構成にできます。

デコード能力——映像を同時表示できる台数の上限を理解する

複数台のカメラ映像を同時表示する際に重要な概念が「デコード能力」です。これを理解していないと「接続はできているのに映像が正常に表示されない」という問題が発生します。

デコード能力とは何か

IPカメラの映像は「エンコード(圧縮)」された状態でNVRやパソコンに送られ、表示する際に「デコード(展開)」する処理が行われます。このデコード処理にはNVRの内部チップの処理能力が必要です。

デコード能力とは「同時に映像を出力(表示)できるビットレートの上限」です。NVRの処理チップのデコード能力には上限があるため、接続できるカメラの台数が多くても、同時にライブ映像を全台表示できる台数には制限があります。

例えば「2MP(フルHD)のカメラで最大4台のライブ映像を同時表示できる」というデコード能力のNVRに5MP(500万画素)のカメラを接続すると、デコードできる台数がさらに少なくなります。高画素のカメラほど1台あたりのデコード負荷が大きくなるためです。

購入前に必ず確認すること

NVRの仕様書に記載されている「デコード能力」または「ライブ映像同時表示台数の上限」と、接続するカメラの画素数・ビットレートを照合してください。「カメラが16台接続できる16チャンネルNVR」であっても、「ライブ映像を同時表示できるのは4台まで」というケースがあります。この制限は「録画と表示の違い」によって生まれます。

ライブ映像表示と録画再生で通信量・負荷が異なる

元記事でも触れているとおり、ライブ映像の表示と録画データの再生ではNVRが処理するデータ量が異なります。

ライブ映像表示: カメラが現在撮影中の映像をリアルタイムでデコードして表示します。各カメラが常時送り続ける映像ストリームを処理するため、同時表示台数が増えるほどNVRへの負荷が大きくなります。

録画データの再生: HDDに保存された録画映像を再生する際は、必要な箇所だけをHDDから読み出してデコードします。全カメラのライブ映像を同時に処理する必要がないため、処理負荷が低くなります。

このため「ライブ映像は4台まで同時表示、録画再生は16台分のデータにアクセス可能」というような仕様のNVRも存在します。

マルチストリームを活用して負荷を軽減する

IPカメラには「マルチストリーミング」という機能があります。1台のカメラが複数の異なる解像度・ビットレートの映像ストリームを同時に配信できる機能です。

一般的にメインストリーム(高解像度・高ビットレート)、サブストリーム(低解像度・低ビットレート)、モバイルストリーム(さらに低解像度)の3種類のストリームがあります。

実践的な使い方: 録画はメインストリーム(5MPの高解像度)で行い、ライブ映像の分割表示はサブストリーム(低解像度・低ビットレート)で表示するという設定にすることで、NVRのデコード負荷を大幅に下げながら多台数のライブ映像を同時表示できます。「16台の映像をパソコン(VMS)で表示しようとすると重すぎてフリーズする」という場合はサブストリームへの切り替えが効果的です。

➡ IPカメラのマルチストリームとストリーミングプロトコルの解説はこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/10622/

アナログカメラの分割表示方法

アナログカメラ(DVRと同軸ケーブルで接続するタイプ)を複数台設置している場合の映像分割方法は、IPカメラとは異なります。

DVRを使った分割表示

アナログカメラを分割表示する基本的な方法がDVR(デジタルビデオレコーダー)の使用です。DVRはアナログカメラ専用のレコーダーで、複数台のアナログカメラの映像を録画しながら分割表示できます。機能面ではIPカメラ用のNVRとほぼ同様ですが、接続できるカメラの種類がアナログのみとなります。

➡ DVRとNVRの違いについての詳細はこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/4960/

➡ レコーダーとは?設置の注意点や導入前に知っておくべきことはこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/8081/

映像分割表示器(録画なし)

録画は不要でモニターへの分割表示だけを実現したい場合は、「映像分割表示器(クワッドプロセッサー)」という専用機器があります。録画機能を持たないため低コストで導入でき、リアルタイムの映像確認だけが目的の場合に選択肢になります。

➡ 録画なし・ライブ映像のみ見る方法についての詳細はこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/10485/

導入規模別の推奨構成——何台のカメラをどう管理するか

4台以下(住宅・小規模店舗)

NX-N401HR(4チャンネルNVR・HDD 2TB)+X-Proシリーズカメラ最大4台の構成が最適です。NVRのPoEポートにLANケーブルで直接接続するだけでシステムが完成し、PoEスイッチングハブ不要です。玄関・駐車場・裏口・庭の4か所を1台のNVRで一元管理できます。

5〜16台(中規模施設・店舗)

NX-N801HR(8チャンネル)またはNX-N1601HR(16チャンネル)+PoEスイッチングハブという構成で、フロアごとにPoEスイッチングハブを配置して効率よく配線を集約できます。

17台以上・複数拠点(法人・チェーン店)

複数台のNVRをVMSとRXCamViewアプリで統合管理する構成が実用的です。各拠点にNVRを設置して独立した録画環境を保ちながら、パソコンのVMSや管理者のスマートフォンから全拠点を一括監視できます。キッティングサービス(NVR:5,000円、カメラ:1,000円/台)を活用することで、各拠点への同一設定での展開が効率化されます。

➡ X-ProシリーズIPカメラの選び方・ラインナップはこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/11979/

➡ X-Pro IPカメラシリーズの商品一覧はこちら:https://n-sk.jp/consumer/directshop/category/item/x_pro/

まとめ——複数台同時表示で押さえておくべき3つのポイント

① NVRかVMSかを用途で選ぶ

1拠点での録画+表示ならNVR、複数拠点の一元管理やパソコンからの高度な管理ならVMSを選んでください。実際には「NVRで録画・VMSやアプリで管理」という組み合わせが最も実用的です。

② デコード能力を事前に確認する

接続できるカメラ台数とライブ映像を同時表示できる台数は別の概念です。NVRの仕様書で「デコード能力」と「接続カメラの画素数」の組み合わせを購入前に確認してください。

③ マルチストリームを活用して負荷を軽減する

ライブ映像の分割表示ではサブストリームを使い、録画はメインストリームで行うという使い分けが、多台数接続でのスムーズな運用に有効です。

設置台数・構成・デコード能力の確認についてのご相談はNSKダイレクトショップへお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ:https://n-sk.jp/consumer/directshop/contact/

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