
養殖いかだやいけす、漁港の船揚げ場、漁具や船外機を保管する倉庫など、海辺の施設は夜間や早朝になると人目がほとんどなくなります。各地の都道県や水産庁の関係機関が密漁防止の呼びかけを行っているように、水産物の盗難や無許可の採捕は、漁業関係者にとって身近で深刻な問題です。今回は養殖場や漁港、漁協施設における防犯カメラの活用方法と、海辺ならではの注意点について解説いたします。
密漁・盗難は重い罪として扱われている
令和2年12月に施行された改正漁業法により、アワビ・ナマコ・シラスウナギは特定水産動植物に指定され、許可や漁業権なく採捕した場合は3年以下の懲役または3,000万円以下の罰金に処せられることになりました。さらに、違法に採捕されたものを運搬・保管・取得したり、処分を仲介したりする行為も、同様の罰則の対象とされています。
このように、水産資源の無許可採捕は、社会的にも重い犯罪として位置づけられています。しかし、被害を受ける側の漁業者にとっては、罰則が強化されたからといって、被害が起きない保証があるわけではありません。実際の現場では、被害を未然に防ぎ、万が一被害に遭った場合に状況を把握するための手段が求められています。
海辺の現場が抱える課題
養殖場や漁港の現場には、陸上の施設とは異なる課題があります。
まず、夜間や早朝の人目の少ない時間帯が長いことです。漁の時間帯以外は無人になる施設が多く、少人数の漁協職員や漁業者だけで、広い港や養殖区画を常時見守ることは現実的ではありません。
次に、電源がない場所が多いことです。防波堤の先端や養殖いかだの近く、船揚げ場の端など、必要な場所ほど電源を引くのが難しいという事情があります。
さらに、潮風や波しぶきによる塩害の影響を受けることです。海辺に設置した機器は、陸上に比べて劣化が早まりやすく、設置位置や固定方法の工夫が欠かせません。
そして、広大な海面そのものは、カメラで見渡せる範囲に限りがあることです。陸から離れた沖合の区画や、水中の様子までは映すことができません。
防犯カメラでできること・できないこと
海辺の現場で防犯カメラが役立つ場面は、陸上から確認できる範囲に限られます。具体的には、岸壁や船揚げ場、漁具や船外機を保管している倉庫、駐車場、施設の出入口といった場所です。
こうした場所にカメラを設置しておくことで、不審な人物や車両の出入りを記録し、夜間や早朝の動きを確認することができます。スマートフォンへの通知機能があれば、現地に常駐していなくても、異変に気づくきっかけになります。
> ➡ 防犯カメラを「リアルタイムで見るべき理由」とは?録画だけでは守れない現場のリスク
一方で、カメラが映せるのは設置した場所から見える範囲だけです。沖合の養殖区画や水中での行為そのものを確認できるわけではありません。防犯カメラは抑止・記録・通知のための道具であり、実際の取り締まりや通報は、警察や海上保安庁、漁協などの関係機関に相談して対応することが前提になります。
電源・回線がない海辺での機種選び
電源も固定の回線もない海辺の現場では、ソーラーパネルで稼働し、SIM通信で映像を送れるカメラが適しています。
X-2 LTE(NS-X200SR)は20Wのソーラーパネルを搭載し、1日20回程度の検知で約90日間稼働するバッテリー式のLTEカメラです。ナノSIMを使ったLTE通信に対応しているため、携帯電話の電波が届く場所であれば、ケーブル工事なしで遠隔から映像を確認できます。パン・チルト・ズームに対応しているため、1台で岸壁から船揚げ場まで幅広く見渡せる点も、海辺の広い現場に向いています。
> ➡ X-2エックスツーLTE(NS-X200SR)の商品詳細
> ➡ X-1ソーラーバッテリーPTZカメラ_4Gモデル_ホワイト
固定の回線がない場所での遠隔監視の考え方については、こちらの記事も参考にしてください。
塩害への備えは防水性能とは別の問題
海辺で機器を使う際に注意したいのが塩害です。IP65などの防水・防塵性能は、雨や粉塵の侵入に対する耐性を示すものであり、塩分を含んだ潮風による金属部分の腐食まで保証するものではありません。
> ➡ 防犯カメラのIP規格(防水・防塵)とは——IP65・IP67の違いと設置場所別の選び方
そのため、設置する際は、波しぶきが直接かからない位置を選ぶ、固定金具には錆びにくいステンレス製を使う、設置後も定期的にレンズや本体の塩を拭き取るといった対策を組み合わせることが大切です。冬場の寒さが厳しい地域では、耐寒性能にも目を向けておきましょう。
> ➡ 防犯カメラの耐熱性や耐寒性について、実際の現場の実例も合わせてご紹介いたします
設置しておきたい場所
養殖場や漁港で優先的にカメラを設置したい場所をご紹介します。
まず、船揚げ場や岸壁など、人や車両が海辺の施設に出入りする場所です。不審な動きの記録に役立ちます。
次に、漁具や船外機、燃料、養殖資材などを保管している倉庫周辺です。持ち出されやすいものが集まっているため、重点的に見守っておきたい場所です。
また、港の入口や駐車場も欠かせません。出入りする車両を記録しておくことで、被害が発生した際の手がかりになります。
夜間の対策としては、赤外線やホワイトライトによる夜間撮影機能を備えたカメラを選んでおくと、暗い時間帯でも状況を確認できます。ホワイトライトを使う場合は、周囲の民家や航行する船への影響にも配慮して設定を行いましょう。
被害に遭った場合の映像の扱い
万が一、盗難や密漁の疑いがある行為が確認された場合は、当該部分の映像を速やかに保存し、警察や漁協などの関係機関に相談することが大切です。映像を証拠として役立てるための保存方法や設定についても、日頃から確認しておくと安心です。
> ➡ IPカメラの録画映像を証拠として活用する方法——X-ProシリーズIPカメラで証拠能力を高める設定と保全手順
> ➡ 警察から防犯カメラの映像を見せてほしいと言われたら——正しい受け答えと注意点を徹底解説
まとめ
養殖場や漁港は、夜間の人目の少なさ、電源や回線がない立地、塩害という、海辺ならではの課題を抱えています。ソーラー式のLTEカメラを、岸壁や船揚げ場、倉庫周辺といった陸上から確認できる要所に設置することで、盗難や密漁に対する抑止と、早期発見につなげることができます。カメラで確認できる範囲には限りがあることを理解したうえで、関係機関と連携しながら活用してください。
設置場所や機種選びについてお悩みの際は、お気軽にNSKダイレクトショップまでお問い合わせください。
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