水田の見回り負担を減らす防犯カメラ活用ガイド——水の状況・獣害・盗難を遠隔で確認

#稲作では、田んぼの水位を保つための水管理が、意外なほど手間と時間のかかる作業です。農研機構が紹介している事例では、作業舎から離れた水田に水管理システムを設置し、見回りを減らしたことで、作業時間が平均で80%短縮できたとされています。この事例は水位センサーなどを使った水管理システムのものですが、「田んぼまで足を運ばなくても状況を確認したい」というニーズの大きさを示しています。今回は、防犯カメラを水田の見回りの補助として活用する方法について解説いたします。

水田の見回りが負担になる理由

水田の見回りが負担になるのには、いくつかの理由があります。

まず、水田が自宅や作業舎から離れた場所に点在しており、1日に何度も往復するのが現実的でないことです。特に中山間地では、田んぼ同士の距離も離れており、確認だけのために車で移動する時間も無視できません。

次に、天候によって状況が大きく変わることです。大雨や台風の前後は、水位や畦畔の状態を確認したい気持ちが強くなりますが、足元が悪く、危険を伴う場面もあります。

また、見回りの手間とは別に、イノシシやシカなどの獣害、資材や農機具の盗難といった心配ごとも、離れた田んぼに常に気を配るのが難しい理由です。

防犯カメラでできること・できないこと

防犯カメラは、離れた水田の状況をスマートフォンから確認するための「目の代わり」になります。

具体的には、水口や水尻、畦畔の様子から水の有無や増水の状況をおおまかに確認することができます。大雨や台風の前後に、現地へ行かなくても状況の見当をつけられるため、足を運ぶかどうかの判断材料になります。

また、イノシシやシカなどの野生動物が水田に入った痕跡や、不審な人物や車両の様子を記録することもできます。盗難の抑止や、被害が起きた際の状況確認にも役立ちます。

> ➡ 鳥獣被害対策におすすめのカメラについて解説します

一方で、防犯カメラはセンチ単位の正確な水位を測ったり、水門や給水栓を自動で開閉したりするものではありません。そうした自動化が必要な場合は、水位センサーや自動給水栓といった専用の水管理システムと組み合わせて使うことが前提になります。カメラは、あくまで「目で見て確認する」ための手段として位置づけると、活用しやすくなります。

取水をめぐる行き違いにも冷静に対応するために

農業用水の取水については、地域によっては水利組合などで取り決めがあり、その運用をめぐって行き違いが生じることもあります。水口や水尻の様子を映像で記録しておくことで、感情的な言い合いになる前に、事実を落ち着いて確認するための材料として役立てることができます。

ただし、他人の田んぼや人物を無断で撮影することにならないよう、カメラの向きや撮影範囲には十分に配慮してください。水利組合や地域の方々と事前に話し合い、設置の目的を共有しておくことも大切です。

> ➡ 防犯カメラの設置基準を確認してプライバシーの侵害も注意

電源も回線もない田んぼでの機種選び

田んぼの周辺には、電源もインターネット回線もないことがほとんどです。そうした場所には、ソーラーパネルで稼働し、SIM通信で映像を確認できるカメラが適しています。

X-2 LTE(NS-X200SR)は、20Wのソーラーパネルを搭載し、1日20回程度の検知で約90日間稼働するバッテリー式のLTEカメラです。ナノSIMを使ったLTE通信に対応しているため、携帯電話の電波が届く場所であれば、ケーブル工事なしで遠隔から映像を確認できます。PTZ機能によって1台で複数の水田を見渡しやすく、400万画素のイメージセンサーで離れた場所の様子も確認しやすい点も、広い田んぼで使うカメラに向いています。

> ➡ X-2エックスツーLTE(NS-X200SR)の商品詳細

> ➡ X-1ソーラーバッテリーPTZカメラ_Wi-Fiモデル_ホワイト

自宅や作業舎の近くで、Wi-Fi環境が使える場所であれば、Wi-Fiモデルを選ぶこともできます。携帯電話の電波が届く範囲や、設置場所の環境については、こちらの記事も参考にしてください。

> ➡ 山間部に防犯カメラを設置する際の注意点とおすすめカメラについて

設置のポイント

水田にカメラを設置する際は、次のような点に気をつけると効果的です。

まず、水口や水尻、畦畔など、確認したい場所が映る位置を選びます。1台で複数の水田を見渡したい場合は、PTZ機能を使って、確認したい方向に向きを変えられるようにしておくと便利です。

次に、稲が成長して背が高くなると、低い位置に設置したカメラの視界が遮られることがあります。成長後の稲の高さを見越して、十分な高さにポールなどで設置しておきましょう。

また、ソーラーパネルは日当たりの良い場所に向けて設置する必要があります。田んぼの周囲は開けていて日当たりが良いことが多い反面、風が強い場所も少なくありません。しっかりと固定し、台風などの強風にも備えておくことが大切です。

> ➡ 防犯カメラのソーラーパネルとバッテリーを使う際の注意点や取扱い方法について

通知の設定で「見に行く」判断を効率化する

稲が風で揺れるたびにカメラが反応してしまうと、通知が頻繁に届き、かえって負担になります。検知する範囲や感度、通知を受け取る時間帯を調整することで、必要なときだけ確認できるように設定しておきましょう。

> ➡ 防犯カメラの通知方法について、検知やスケジュールの設定など

災害時の状況確認にも

大雨や台風、河川の増水といった災害の際は、現地の状況をいち早く把握することが大切です。ただし、危険が予想される場面では、状況を確認するために無理に現地へ向かうことは避けてください。カメラの映像で確認できる範囲を判断材料の一つとし、安全を最優先に行動することが大前提です。

> ➡ 自然災害に防犯カメラを活用して安心、安全な環境を作る

まとめ

水田の見回りは、離れた場所に点在する田んぼを何度も確認しに行く手間がかかる作業です。電源も回線もない田んぼでも使えるソーラー式のLTEカメラを、水口や畦畔が見える位置に設置することで、現地へ行かなくても状況をおおまかに確認でき、見回りの負担を減らす助けになります。水位の自動測定や給水栓の制御といった機能が必要な場合は、専用の水管理システムと組み合わせて活用してください。

設置場所や機種選びについてお悩みの際は、お気軽にNSKダイレクトショップまでお問い合わせください。

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