お知らせ・ブログ
イギリスレポートの監視カメラ動向
2020年04月08日
カテゴリー:ブログ
「監視カメラ」と聞いて、みなさんはどのようなイメージを持つだろうか。監視カメラを設置することで、犯罪を抑止できるという考えもありますし、プライバシー侵害を叫ぶ声もある。さらに、今顔認証技術が急速な発展を見せ、誰がどこにいて、何をしているかが、一目瞭然になる世界が見えており、そこに対する不安も聞かれる。イギリスの比較サイトComparitechが発表した世界各都市の監視カメラ動向を
まとめたレポートは、監視カメラにかかわる問題を考察していく上において、参考になるので、ご紹介したい。(※https://www.comparitech.com/vpn-privacy/the-worlds-most-surveilled-cities/)
このレポートは、世界120都市の監視カメラ台数を分析したうえで、人口1000人当たりの台数へと換算して、それをランキングしたものである。
2.監視カメラ上位は、やはりあの国…。
では、監視カメラが最も設置されている国はどこであろうか。予想していただき、続きを見てもらいたい。このレポートによると、1位は、中国・重慶。監視カメラ約258万台。人口は約1535万人。1000人当たりのカメラ台数は、約168台。2位は、中国・深圳。監視カメラ約193万台。人口は約1212万人。1000人当たりのカメラ台数は、約159台となっている。以下、3位上海(1000人当たり113台)、4位天津(93台)、5位済南(73台)、6位ロンドン(68台)、7位武漢(60台)、8位広州(52台)、9位北京(39台)、10位アトランタ(15台)
と続く。やはりというか、上位10位のうち8つを中国を占めている。予想は当たっていただろうか。
3.監視カメラ台数と安全性に関する意外な結果
Comparitechはこのレポートの中で、監視カメラを設置する最たる理由としてよく挙げられるのは、「監視カメラを増やすことで犯罪抑止になる」という主張である。この主張が、本当に妥当なものであるかを安全指数(犯罪指数)に照らし合わせ、その相関関係を分析している。まず、人口1,000人あたりの監視カメラ台数トップの重慶。Comparitechがまとめた安全指数は66.82。安全指数で見たランキングでは分析対象となった120都市中、33位に位置している。次に、安全指数が最大だったのは中国・南昌市で91.91。監視カメラ数ランキングでは22位(1,000人あたりの台数9.22台)となっている。英エコノミスト誌の安全都市ランキングで1位となった東京の安全指数は81.00で、
Comparitechの安全ランキングでは6位に位置している。1,000人あたりの監視カメラ数ランキングでは、0.65台で77位と低い位置につけている。エコノミスト安全都市ランキングで東京に次いで2位だったシンガポールは、Comparitechの評価では安全指数ランキング20位(安全指数71.64)、監視カメラ台数ランキングでは11位(1,000人あたり監視カメラ台数15台)となっている。上記数字から、監視カメラの台数と安全性には、強い相関性がないことがうかがえる。つまり、この分析における結論は、監視カメラの数と安全性の相関関係は弱く、
「監視カメラを増やすことで犯罪抑止になる」という主張の正当性は、残念ながら低いということである。端的にまとめると、「監視カメラを増やしたからといって、必ずしも街の安全性が高まることはない」ということだ。中国以外の都市の中では、比較的監視カメラ台数が多いシンガポール。安全性が高いことでも知られているが、これは監視カメラが多いことも1つの要因ではあるが、それだけでなく、厳しい刑事罰も挙げられる。例えば、殺人や銃器の発砲、500g以上の麻薬所持は死刑と定められています。その他にも不法入国・不法滞在などの刑罰には鞭打ちの刑があり、現在でも実際に執行されています。
(※https://magazine.goodjobcreations.com.sg/archives/48)
4.中国が監視カメラ設置を続ける理由
このレポートによると、2020年までに中国の監視カメラは、2億から6億2600万台まで及ぶとされている。深圳は今後数年で、監視カメラをの台数が、現在の193万台から、1668万台に増やす計画となっており、単純に一人当たりカメラ1台以上というとんでもない割合となってくる。では、なぜ中国はここまで監視カメラを導入するのであろう。確かに犯罪抑制という一面もあるが、「天網」と呼ばれるシステムの強化であると言われている。この「天網」とは、簡単に言えば監視カメラの映像とAIによって、中国国内の人々を特定してしまうシステムである。(※おおよその内容は右記Wikipediaに記載有→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%B6%B2)
2010年代から中国各地で試験的に始まり、2020年までの中国全土の導入を掲げている。中国はこれらは、行方不明者や犯罪者を見つける事ができるとしている。2018年時点で、2000人を超える犯罪者を逮捕を天網で成功したとしている。しかもこのシステム、すでに世界54か国に輸出されているという。(※https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/post-12040.php)
一方で、欧米メディアは中国の反体制派弾圧に利用されているとし、厳しい批判を浴びせている。AIによる画像認識は、様々なアルゴリズムと蓄積されていくビックデータによって、日々進化を遂げている。日本は一体どういった道を進んでいくのだろうか。プライバシーについて、それぞれが考えるべき時が近づいているのかもしれない。