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AIカメラで実現する工場のサーマル監視と安全管理

2025.09.29 ,
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目次

はじめに:AIカメラで変わる工場の「見える化」とリスク低減

製造業の現場では、設備の異常や労働災害のリスクを早期に発見することが重要な課題となっています。従来の目視点検や人による監視では、24時間体制での監視が困難で、見落としのリスクも大きな問題でした。

そこで注目されているのが、AIカメラを活用したサーマル監視と安全管理システムです。これらのシステムは、温度変化による設備異常の早期検出や、作業員の安全を守るための転倒検知、放置物検知など、多角的な監視機能を提供します。

AIカメラの導入により、工場では「見える化」が大幅に進み、リスクの早期発見と迅速な対応が可能になります。これまで人の目では捉えきれなかった微細な変化や、広範囲にわたる監視エリアでの異常を、リアルタイムで検知できるようになったのです。

背景と課題:火災予防・予防保全と安全管理の最新ニーズ

現代の工場では、生産効率の向上と同時に、安全性の確保がますます重要になっています。特に以下のような課題が顕在化しています。

設備異常による火災リスク

駆動系のポンプや油圧ユニット、電気・制御系統、冷却・保冷設備などの異常は、初期段階では目視では発見が困難です。異常な温度上昇を見逃すことで、重大な火災事故や設備故障につながるリスクが常に存在します。

労働災害の増加傾向

高齢化や人手不足により、一人作業の機会が増加している現在、転倒や意識失失などの労働災害への対応が急務となっています。特に夜間や人の目が届きにくい場所での事故は、発見が遅れることで重篤化する傾向があります。

予防保全の重要性

設備の故障による生産停止は、企業の収益に直接的な影響を与えます。事後保全から予防保全への転換が求められており、設備の状態を常時監視し、異常の兆候を早期に発見することが重要になっています。

省人化とコスト削減の要求

人件費の上昇と人手不足により、効率的な監視体制の構築が求められています。従来の人による巡回点検では限界があり、自動化による省人化が急務となっています。

NSKのAIカメラによる解決策の全体像

NSKが提供するAIカメラソリューションは、サーマル監視と安全管理の二つの柱で工場の安全性向上を実現します。

サーマル監視(火災予防・予防保全)の柱

サーマル監視システムでは、温度変化による設備異常の早期検出を実現します。突発的な温度上昇を異常熱源としてリアルタイムで検出し、火災の兆候や設備異常を早期に発見できます。

最大45メートル先の熱源を検知し、0°Cから+550°Cまでの広範囲な温度測定が可能です。危険な熱源に近づくことなく、遠隔から安全に温度監視を行うことができます。

人・モノ・エリアの見守りによる安全管理の柱

安全管理システムでは、作業員の転倒検知、放置物や障害物の検知、360度の全方位監視により、工場内の安全性を総合的に管理します。

AIによる行動認識技術を活用し、異常な状況を自動的に検出して即座に通知します。人の目では監視しきれない広範囲なエリアでも、24時間体制での見守りを実現します。

主な製品と機能ハイライト

IP-P8104TP(ハイブリッドサーマルカメラ)

サーマル監視の中核を担う製品で、可視画像とサーマル画像を同時に表示できるハイブリッド方式を採用しています。通常の映像と温度情報を重ね合わせることで、直感的な状況把握が可能です。

最大12個の温度測定エリアを同時に設定でき、各エリアの平均・最低・最高温度を画面上にリアルタイムで表示します。ルールごとに温度アラーム条件を設定し、閾値を超えた場合には即座にアラートを発報します。

IP-P300FD-AI(転倒検知カメラ)

労働災害の早期把握を目的とした転倒検知専用カメラです。複数人の転倒を同時に検出する能力を持ち、検知エリアの設定により注意エリアや危険エリアをカスタマイズできます。

  • 40°Cから60°Cまでの過酷な環境でも動作し、工場の様々な場所に設置可能です。検知時にはカメラ内蔵スピーカーで音声アラートを発し、即座に異常を知らせます。

D/Sシリーズ(放置物・障害物検知、360°見守り)

放置物や障害物の検知には、Dシリーズ IP-9024MPTZとSシリーズ IP-S8015を使用します。出入口や搬入エリア、ライン上などに放置禁止エリアを設定し、指定時間以上放置された場合にアラートを発報します。

360度監視には、Dシリーズ IP-3005FIとSシリーズ IP-S3008FIを活用します。通常のカメラ4台分以上のパノラマビューにより、現場全体を俯瞰的に監視できます。

サーマル監視の実装と活用シーン

閾値ベースの異常熱源リアルタイム検出

サーマルカメラシステムでは、事前に設定した温度閾値に基づいて異常熱源を自動検出します。正常運転時の温度範囲を学習し、それを超えた温度上昇を異常として即座に検知します。

検知システムは、急激な温度変化だけでなく、緩やかな温度上昇トレンドも捉えることができ、設備の劣化進行も早期に発見できます。

最大12エリアの温度測定と平均・最低・最高温度表示

映像内の任意の地点やエリアを指定して温度測定を行い、同時に最大12個のエリアを監視できます。各エリアでは平均温度、最低温度、最高温度を同時に表示し、温度分布の詳細な把握が可能です。

温度データは数値として画面上にリアルタイムで表示され、異常の程度を定量的に評価できます。過去のデータとの比較により、設備の状態変化を継続的に監視できます。

ハイブリッド表示(可視+サーマル)と遠隔・24時間監視

可視画像とサーマル画像を重ね合わせたハイブリッド表示により、設備の物理的な状況と温度情報を同時に確認できます。これにより、温度異常の発生箇所を正確に特定し、迅速な対応が可能になります。

システムは24時間体制で自動監視を継続し、管理者は遠隔地からスマートフォンやパソコンで状況を確認できます。現場に常駐する必要がなく、効率的な監視体制を構築できます。

適用シーン:駆動系・電気/制御・冷却/保冷設備の異常兆候把握

駆動系設備の監視

ポンプや油圧ユニット、コンプレッサーなどの回転機器では、ベアリングの摩耗や潤滑不良による温度上昇を早期に検出できます。これにより、計画的な保守作業を実施し、突然の故障による生産停止を防げます。

電気・制御系の監視

電気盤や制御盤内の異常発熱、ケーブルの劣化による発熱、接触不良による局所的な温度上昇を監視します。電気火災の原因となる異常を未然に防ぐことができます。

冷却・保冷設備の監視

冷凍機や冷却塔、保冷庫などの冷却系統では、冷媒漏れや冷却効率の低下による温度異常を検知します。製品品質に直結する温度管理の精度向上が実現できます。

安全管理の実装と活用シーン

転倒検知の見守りと初動対応(エリア設定・音声アラート・通報)

転倒検知システムでは、作業エリア内で人が転倒した瞬間を自動的に検出します。検知エリアは作業内容や危険度に応じて柔軟に設定でき、注意が必要な場所を重点的に監視できます。

転倒が検知されると、カメラ内蔵スピーカーから音声アラートが発せられ、周囲の作業員や管理者に即座に異常を知らせます。同時にパトライトとの連携により、管理室にも光と音で通報されます。

一人作業が多い夜間や、目の届きにくい場所での作業でも、AIカメラが常時見守りを行うため、迅速な初動対応が可能になります。

置き去り・放置物/動線障害物の検知と周知

放置物検知システムでは、出入口、搬入エリア、生産ライン上などに放置禁止エリアを設定します。設定した時間を超えて物が放置された場合、自動的にアラートが発報されます。

通路や作業動線上の障害物も自動検知し、作業員の安全な移動を確保します。フォークリフトの通路に置かれた資材や、歩行者通路の障害物を検知して事故を未然に防止します。

管理者が現場にいない時間帯でも、AIカメラが自動的に異常を検知し、関係者に通知することで、ヒヤリハットの削減につながります。

360°見守りで現場俯瞰・レイアウト改善の検討

360度カメラによる全方位監視では、工場内の広範囲な状況を一台のカメラで把握できます。通常のカメラ4台分以上の監視範囲をカバーし、死角のない監視体制を構築します。

録画された映像データを活用して作業員の動線分析を行い、非効率な動きや危険な作業パターンを可視化できます。これにより、レイアウトの最適化や作業手順の改善につながる貴重なデータを取得できます。

現場全体を俯瞰的に監視することで、部分的な監視では見落としがちな問題点を発見し、総合的な安全性向上と生産性向上を実現します。

通知・警報と運用基盤

スマホ通知、フラッシュライト/サイレン、内蔵スピーカーでの即時周知

システムが異常を検知すると、複数の手段で即座に関係者に通知されます。管理者のスマートフォンには異常発生の詳細情報がプッシュ通知で送信され、現場にいなくても状況を把握できます。

サーマル異常が検知された場合は、カメラに内蔵されたフラッシュライトとサイレンが作動し、現場作業員に視覚的・聴覚的に危険を知らせます。転倒検知時には内蔵スピーカーから音声アラートが発せられ、周囲に異常を知らせます。

これらの多段階通知システムにより、異常の見落としを防ぎ、迅速な対応を促進します。

パトライト連携による現場・管理室の見落とし抑止

パトライトとの連携機能により、現場と管理室の両方で異常を同時に把握できます。光と音による警報は、作業音の大きな工場環境でも確実に異常を伝達します。

管理室では複数のカメラからのアラートを統合的に管理でき、優先度に応じた対応を行えます。夜間や少人数体制の時間帯でも、見落としを抑止する効果的な警報システムとして機能します。

導入・設置のポイント

カメラ設置位置と測定エリア設計のコツ

効果的な監視を実現するためには、適切なカメラ設置位置の選定が重要です。サーマルカメラでは、監視対象設備の特性を理解し、温度変化が発生しやすい部位を重点的にカバーできる位置を選定します。

設置高さや角度は、監視エリア全体をカバーしつつ、作業の妨げにならないよう配慮が必要です。また、蒸気や粉塵の影響を受けにくい位置を選ぶことで、安定した監視性能を維持できます。

転倒検知カメラでは、作業員の動線と危険エリアを詳細に分析し、最も効果的な監視が可能な位置を決定します。複数台のカメラを組み合わせることで、死角のない監視体制を構築できます。

稼働環境・ネットワーク要件、保守運用の注意点

工場環境は温度変化、振動、粉塵など、カメラにとって過酷な条件が多くあります。各製品の動作温度範囲や防塵・防水性能を確認し、設置環境に適したモデルを選択することが重要です。

ネットワーク環境では、リアルタイムでの映像伝送と制御信号の送受信に必要な帯域幅を確保する必要があります。また、システムの安定稼働のため、定期的なメンテナンスとソフトウェアアップデートの体制整備が不可欠です。

プライバシー・労務面の配慮

AIカメラの導入にあたっては、作業員のプライバシー保護と労務面への配慮が重要です。監視の目的と範囲を明確に説明し、作業員の理解と協力を得ることが成功の鍵となります。

録画データの取り扱い方針、アクセス権限の管理、データ保存期間などを明文化し、透明性の高い運用体制を構築することで、作業員の不安を解消できます。

導入効果とROIの可視化

火災リスク低減と資産保護、生産停止の回避

サーマル監視システムの導入により、火災リスクの大幅な低減が実現できます。設備異常の早期検出により、重大事故を未然に防ぎ、設備や建屋などの重要資産を保護できます。

計画外の生産停止は企業収益に直接的な影響を与えますが、予防保全の強化により、これらの損失を大幅に削減できます。また、保険料の軽減効果も期待できます。

見守りの省人化、録画活用による原因究明と再発防止

AIカメラによる自動監視により、従来の人による巡回点検や常駐監視を大幅に省人化できます。人件費の削減効果は、システム導入コストを相殺し、中長期的にはコスト効果を生み出します。

録画された映像データは、事故や異常発生時の原因究明に活用でき、根本的な再発防止策の策定に貢献します。これにより、継続的な安全性向上と品質向上を実現できます。

導入ステップと運用体制づくり

現場診断→設計→設置→運用チューニング→定着化

AIカメラシステムの導入は、段階的なアプローチが効果的です。まず現場の詳細な診断を行い、リスクポイントと監視要件を明確化します。

次に、診断結果に基づいてシステム設計を行い、最適な機器構成と設置レイアウトを決定します。設置工事後は、運用状況に応じた設定調整を繰り返し、最適な監視性能を実現します。

システムが安定稼働した後は、定期的な性能評価と改善を継続し、現場への定着化を図ります。

アラート対応フローと社内ルール整備

効果的なシステム運用のためには、アラート発生時の対応フローを明確に定義し、関係者に周知することが重要です。緊急度に応じた対応手順、連絡体制、権限と責任の範囲を明文化します。

また、システムの適切な運用を確保するため、操作マニュアルの整備、定期的な教育訓練の実施、運用ルールの継続的な見直しが必要です。

まとめ

AIカメラを活用したサーマル監視と安全管理システムは、工場の安全性向上と効率的な運営を実現する革新的なソリューションです。従来の人による監視では限界があった24時間体制の監視と、リアルタイムでの異常検知を可能にします。

サーマル監視による火災予防と予防保全、転倒検知や放置物検知による労働安全の向上、そして360度監視による総合的な現場管理により、工場運営の質的向上を実現できます。

導入にあたっては初期投資が必要ですが、火災リスクの低減、生産停止の回避、人件費削減などの効果により、中長期的には十分な投資回収が期待できます。適切な設計と運用体制の整備により、工場の安全性と生産性の両立を実現し、持続可能な製造業の発展に貢献するでしょう。

 

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