高齢者は眠りが浅かったりトイレが近くなるため、深夜に施設内もしくは自宅内でも徘徊してしまうことがあるため、家族が寝ている間に転倒事故が起こってしまうケースも多く、発見されるまでに時間がかかってしまうと命を落としてしまう可能性もあります。
転倒検知が搭載されたAIカメラを導入することで、転倒しても即座にデバイスに通知され、迅速かつ適切な対応を講じることができるようになります。
今回は、介護における高齢者の転倒事故に焦点をあて、迅速な転倒検知の重要性や、介護施設にAIカメラを設置するメリットやデメリットなどを解説しますので、ぜひ最後までご覧になり導入の参考にしてください。
目次
高齢者の転倒事故と転倒検知の重要性
高齢者の転倒事故の影響と、AIカメラによる転倒検知の重要性について解説します。
高齢者による転倒事故の影響
高齢者は、筋力の衰えや関節が鈍くなることなどから、歩いたり、階段を上ったりする動作機能が低下していくことが分かっています。
その結果、高齢になればなるほど、何気ない行動に弊害が生じてしまい、転倒事故を起こしやすくなる実情があります。
若い方であれば、転倒事故によってけがを負ったとしても軽症で済んだり、病院に入院した場合でも、医師の指示のもと治療を施すことで、ケガの完治も早くなります。
一方、高齢者の場合は骨が弱くなっている場合も多く、転倒時による骨折やケガは寝たきりになるリスクを高め、QOL(生活の質)を著しく低下させてしまう原因ともなります。
また、転倒時に打ちどころが悪いと、そのまま死亡してしまう危険さえあるため、高齢者が転倒事故を起こしてしまった場合、早期に検知し、周囲のスタッフが素早く対処する必要があります。
AIカメラにおける転倒検知の重要性について
介護施設では、高齢者が多く生活しており、その多くが身体機能の低下や認知症の影響で転倒のリスクを抱えています。
日本国内における高齢者の転倒は入院や死亡原因の一つとなっており、特に骨折や頭部外傷が原因で長期的に寝たきり状態の介護が必要になるケースも少なくありません。
そのため、高齢者の転倒事故を早期に検知し、対処する必要があるため、高精度な転倒検知を搭載したAIカメラが高齢者の転倒問題を解決してくれる映像ソリューションとなります。
また、介護施設やデイサービスでは、転倒事故について高齢者の親族から訴訟を起こされるリスクが考えられるため、AIの転倒検知による早期発見と迅速な対応ができるような体制を整えておくことで、それらのリスクを軽減させることに繋がります。
AIカメラによる転倒検知のメリット
AIカメラによる転倒検知のメリットについて詳しく解説していきます。
AIカメラのメリット①:24時間体制の監視
AIカメラを利用して高齢者を見守るメリットの一つは、24時間体制で高齢者を常時監視することができることです。
人手に頼る監視体制では、高齢者を24時間常に監視するには限界があり、管理しきれないことも少なくありませんでした。
しかし、AIカメラを導入することにより24時間監視体制を整えることができれば、夜間や介護スタッフが少ない時間帯でも効率的に高齢者を見守ることができます。
また、転倒を検知した際には連携されているデバイスへ即座に通知されるため、リアルタイムの映像を確認することで早急な対応が必要なのか判断することができるため、万が一、誤検知となっても無駄なく対処することができるようになります。
AIカメラのメリット②:高精度な検知機能
AIカメラは、正常状態と異常状態を高精度に識別し、監視エリアの異常を検知すると、素早く監視者に知らせることができます。
特に、転倒や急激な姿勢の変化といった異常動作を自動的に判断するアルゴリズムが搭載されており、単に転倒を検知するだけでなく、転倒の前兆となる動作やリスクの高い行動も捉えることができます。
例えば、ゆっくりとバランスを崩していく動作や、急激な動きの停止など、通常では見逃されがちな微細な変化をAIが認識するため、転倒が発生する前にリスクの高い状況を察知することができます。
そのため、従来のセンサー技術や監視カメラと比べて、誤検知のリスクを大幅に減少させることが可能です。
またAIカメラは、自己学習機能(ディープラーニング)を活用して、日々の監視データから転倒する際の行動パターンを学習し続けることができるため、時間が経つにつれて検知精度が向上し、誤検知のリスクを低くすることにも繋がります。
AIカメラのメリット③:迅速な対応のサポート
AIカメラは、高い映像解析機能により高齢者の転倒事故を迅速に察知し、監視者に異常事態が起きたことを素早く通知することができます。
従来の監視カメラでは、定期的な巡回や後から映像を確認する必要がありましたが、AIカメラは異常を自動的に感知して即座に通知するため、対応の遅れを防ぐことができます。
また万が一、高齢者が転倒事故によりケガを負ってしまった場合でも、対応のスピードアップが実現されることにより素早い処置が可能となるため、打ち所が悪かったケースでも高齢者の命を救う一助となることに期待できます。
AIカメラのメリット④:介護負担の軽減
人手不足による課題はどの業界で問題視されていますが、日本が高齢化社会となっているため、介護施設に入所している利用者や一人暮らしの高齢者を安全かつ、手厚く見守るには、それだけ人的リソースが必要となるため、介護業界全体として大きな課題となっています。
しかし、AIカメラの転倒検知により、異常が通知されて必要なときに適切な対応をする体制を整えることでスタッフの巡回の回数を減らし、一人あたりの業務負担が軽減されたり、常時監視のプレッシャーからの解放によりスタッフの精神的負担も軽減されます。
人手不足が故に、一人当たりの業務負担が多くなりやすいですが、AIカメラの導入によりスタッフ一人あたりの業務負担を軽減させることで、離職率を下げることに期待できます。
AIカメラによる転倒検知のデメリット
AIカメラによる転倒検知は多くのメリットがありますが、デメリットについてもしっかりと理解しておく必要がありますので紹介していきます。
AIカメラのデメリット①:環境設定の複雑さ
AIカメラは、高精度な転倒検知を行うために、設置場所やカメラの角度を最適化する必要があるため、施設の環境に応じてカメラの設置調整が必要であり、テスト運用により微調整などを実施することもあるため、導入が完了するまでに手間がかかります。
特に、施設内のレイアウト変更や季節ごとの照明条件の変化により、カメラの調整が必要になることもあります。
AIカメラは一度設置して終わりではなく、カメラの検知制度を維持させるためにも、継続的な環境適応とメンテナンスが重要となります。
AIカメラのデメリット②:AIによる監視システムへの依存
AIカメラは、最先端のAI技術を応用した高精度の検知機能を搭載した監視カメラですが、100%正確に転倒事故を検知することは難しいです。
誤検知を検出するのは極めて低くなるように設計されていますが、AIカメラの性能を監視者が過信してしまい、AIカメラでも検知することができない転倒事故を見過ごす可能性が考えられます。
また、万が一システムが故障した際や誤作動が発生する可能性もあるため、スタッフが即座に対応できる体制が整っていないと、対応が遅れるリスクも増大します。
そのため、介護スタッフは、AIカメラの監視システムに依存しすぎず、あくまで業務効率の改善をしてくれるサポートとしてとらえ、人手による定期的な見回りなど安全の確保もバランスよく取り入れることが大切です。
AIカメラのデメリット③:学習データの偏りとアルゴリズムの限界
AIカメラの検知精度は、アルゴリズムを形成するデータの質や量によって変動します。
では、「AIの学習データの偏り」と「アルゴリズムの限界」について解説していきます。
AIの学習データの偏り
AIカメラのアルゴリズムは、大量の映像データを元に訓練されますが、学習に用いるデータが特定の環境に限られていると、実際の使用環境での精度が低下してしまう可能性があります。
しかし、特定の施設や環境に合わせたデータでしか学習されていない場合、環境が異なる施設で誤認識を引き起こす可能性があります。
【データの偏りが生じる原因】
・限られた環境でのデータ収集:特定の施設や地域のみでデータが収集されると、異なる環境に適応できないアルゴリズムが生まれるリスクがあります。
・利用者の個別差:高齢者の行動や動作には個人差がありますが、訓練データにその個別差が反映されていないと、特定の利用者に対して誤認識が生じることがあります。
・訓練データの不足:転倒を含む異常行動は日常的に発生しないため、そのデータが十分に収集されていないことが、偏りを引き起こす一因となります。
これらの要因が重なることで、AIカメラのアルゴリズムは特定の状況下でしか有効に機能しない場合があり、実運用での問題に繋がってしまうことがあります。
AIのアルゴリズムの限界とは?
AIのアルゴリズムは、学習されたデータに基づいて動作を判断するため、予想外の状況や未経験のデータには対応が難しいことがあります。
例えば、以下のような状況は、AIアルゴリズムにとって難易度が高い場合があります。
・複雑な背景や環境:背景が複雑で動きが多い環境では、AIが誤って動作を認識することがあります。例えば、光の反射や影の揺れを転倒と誤認する可能性があります。
・異常動作のバリエーション:高齢者が通常と異なる動きをした場合、それが「異常」と見なされるかどうかはアルゴリズムに依存します。意図的な動作や非典型的な転倒があった場合、AIは正確に認識できないことがあります。
・感情や細かな動作の認識:AIは身体の動きは認識できますが、表情や細かな手の動きなどの「感情を表す動作」を正確に理解することは難しいです。これにより、利用者の心理状態を判断するのが難しくなります。
これらの
では、アルゴリズムの限界を解消させるには具体的にどのような対策をとるべきなのか紹介していきます。
【アルゴリズムの限界の解消】
・多様なデータの収集:異なる環境や条件下でのデータを幅広く収集し、訓練データを多様化することで、AIの適応力を高めることができます。
・継続的なアルゴリズムの改善:AIカメラのアルゴリズムは常にアップデートされる必要があります。新しいデータを基に再学習を行い、既存の偏りを修正する取り組みが求められます。
・人間との協働:AIカメラの判断に頼りすぎず、人間の判断と組み合わせて使用することで、AIの限界を補完します。例えば、AIがアラートを出した場合でも、最終的な判断は人間が行う仕組みを整えることが推奨されます。
・データのクレンジングと精度検証:収集されたデータを分析し、不適切なデータや偏ったデータを取り除く「データクレンジング」を行い、データの品質を向上させることも重要です。
AIカメラ導入時に注意すべきポイント
ここでは、AIカメラを導入する時の注意点について解説していきます。
導入目的の明確化とニーズの確認
AIカメラを導入する際には、まず導入の目的を明確にすることが非常に重要です。
介護施設の課題やニーズをしっかりと把握し、転倒検知を主な目的とするのか、それとも他の監視機能も活用したいのかを決定する必要があります。
導入目的を設定する際には、まず施設の現状を詳細に分析し、どの部分に課題があるのかを特定する必要があります。
・転倒事故の発生状況:どの場所で、どの時間帯に転倒事故が多発しているか。
・スタッフの業務負荷:スタッフの労働時間や業務内容を分析し、負担が集中している箇所を特定。
・施設の安全管理体制:現在の安全対策がどの程度効果的か、追加の対策が必要かどうか。 このような現状分析を行うことで、AIカメラ導入によって解決したい具体的な課題が浮かび上がります。
導入目的が曖昧だと、適切なカメラの選定が難しくなり、効果的な運用ができない可能性があるため、導入目的をしっかりと定めましょう。
スタッフ教育と運用体制の構築
AIカメラを効果的かつ適切な運用をするためには、スタッフへの教育やトレーニングが不可欠となります。
特に、システムの操作方法やアラート対応の手順について、全スタッフが統一した対応ができるよう、運用手順をマニュアル化させ、いつでも参照できるような状態を整備することが大切です。
・基本操作ガイド:システムの各機能についての詳細な操作方法。
・異常対応手順:アラートが発生した場合のステップバイステップの対応手順。
・トラブルシューティング:システムが正常に動作しない場合の対応策や、エラーメッセージへの対応方法。
これらの内容をさらに細分化させて運用マニュアルを作成することがおすすめです。
また、AIカメラの不具合などによる緊急時対応フローも作成することで、全スタッフが手順通りに適切に対処することができるようになります。
さらに、定期的にミーティングを行い、現場スタッフのフィードバックを積極的に収集し、運用マニュアルやシステム設定に反映させることで、現場での運用体制が柔軟に改善され、より良い運用体制を構築できるようになります。
修理やメンテナンスの計画
AIカメラを導入すると、定期的なメンテナンスや、AIカメラの調子が悪い時などに修理が必要となります。
修理やメンテナンスが実施されている時は、AIカメラによる監視ができないため、人手によって高齢者を見守ることになります。
人的リソース不足が懸念されている昨今のことを考えると、修理やメンテナンス時に人手が割かれるのは、介護施設の運営にとって、大きな課題となることでしょう。
そのため、できるだけ故障や修理にならないよう、日常的な点検から定期的なメンテナンスを計画的に実施することで故障するリスクを軽減することができるようになります。
また、メーカーや導入業者とのサポート体制をしっかり構築し、トラブル発生時にも迅速な対応が取れるよう準備しておくことも大切です。
施設利用者への心理的影響
AIカメラの導入により、常に監視されているという感覚を抱く高齢者やスタッフもいるかもしれません。
高齢者は慣れた生活環境でも体が思うように動きづらくなるため、ちょっとした段差でもつまずきやすくなったりバランスを崩したりすることで転倒してしまいます。
消費者庁のデータによると転倒する場所として「浴室・脱衣所」が最も多く、他にも「ベッド・布団」「玄関・勝手口」「階段」「トイレ」「廊下」など、至る所で転倒事故が起こっています。
廊下や共有スペースにAIカメラを設置することはもちろんですが、各部屋の居住スペースでの転倒を考慮しAIカメラを設置するケースもあるため、プライバシーを重視する高齢者にとっては常時監視される環境が精神的なストレスを引き起こしてしまう可能性があります。
そのため、AIカメラの導入にあたり、利用者やその家族に対して十分な説明を行うことや導入の目的、どのように映像が管理されるかなどのプライバシーガイドラインの策定とプライバシーに対する配慮を示すことで、心理的負担を軽減に繋がります。
まとめ
AIカメラによる転倒検知は、高齢者の転倒をいち早く検出してくれるため、迅速かつ適切な処置を施すことが可能となり、最悪な事態をさけ、命を救うことに繋がります。
また、介護施設においては、万全な管理体制により利用者は安心して生活することができ、スタッフは24時間体制での監視を効率的に行うことが可能となり介護業務における負担の軽減など多くのメリットがあります。
一方で、AIにおけるデータの偏りや環境設定の複雑さ、AI監視システムダウン時の信頼性低下などデメリットも存在しますので、自社のニーズや課題を明確化させ、AIカメラの最適な導入計画を立てることが大切です。
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