漁港の役割は、漁船を安全に停泊させることや漁獲物の陸揚げ、水産物の加工、あるいは貯蔵など、数多くの役目を果たしています。
しかし、近年では漁港に不法侵入し、漁具や水産物、または漁船の燃料などを窃盗したり、いたずらしたりする犯行が増加傾向にあることから、AIカメラの設置が増えてきています。
今回は、漁港の防犯対策、漁港に活かせるAIカメラの特徴、AIカメラ導入時の注意点などについて解説しますので、最後までご覧になり参考にしてください。
目次
漁港における防犯対策の重要性
漁港における防犯対策の重要性について解説します。
漁港の防犯リスク(窃盗・不審者侵入・密漁・器物破損)
漁港は繁華街と違い、深夜は人が集まらないため、一見犯罪とはかけ離れている場所と感じる人も多いかもしれません。
しかし、現実には水産物や漁船燃料、漁具などの窃盗や、漁港の立入禁止区域への不法侵入、アワビやナマコなどの密漁、あるいは停泊している漁船への器物破損などの犯罪が多発しており、その件数は増加傾向にあります。
そのため、漁港協同組合は、漁港内の防犯対策を実行させる必要に迫られています。
従来の防犯対策の課題とAIカメラが注目される理由
漁港の従来の防犯対策には、漁港協同組合員やその関係者による漁港周辺の見回りや、立入禁止区域の設定、防犯対策のための条例や防犯対策ガイドラインなどの制定などがあげられます。
しかし、これらの防犯対策では、人手がかかり、しかも非効率であることが否めません。
そこで、注目されているのがAIカメラの設置による漁港全体の常時監視という方法です。
AIカメラを一度設置することで、24時間365日防犯対策を施すことができます。
漁港に活用できるAIの検知機能
ここでは、漁港において活用できるAIカメラの検知機能について解説します。
AI検知機能①:動体検知機能
AIカメラの検知機能の一つには、動体検知機能があります。
動体検知とは、カメラが映している映像の中で「動き」があった部分をAIが自動で識別・記録し、異常行動をリアルタイムで検出する機能です。
例えば、夜間や休漁日など、通常は人の出入りが少ない時間帯に不審な動きがあれば、即座に管理者へアラートを通知することができます。
これにより、密漁や盗難といったトラブルを未然に防ぐことが可能になります。
さらに、特定の時間帯やエリアに絞って動体検知を行う設定もできるため、漁港内の警備対象を柔軟にコントロールすることができます。
人手不足の現場でも、動体検知機能を活用することで効率的な監視体制を構築でき、24時間体制の見守りを実現することができます。
また、この機能により、録画データを減少させられる上に、後で録画データを見直す時に、異常が検知された瞬間だけを見返すことができるので、監視体制を効率化できるというメリットもあります。
AI検知機能②:顔認識機能
漁港におけるAIカメラの「顔認識機能」は、関係者以外の立ち入りを防ぎ、不審者の侵入を検知する手段として非常に有効です。
顔認識機能では、事前に登録された漁業関係者の顔データと照合することで、未登録者の侵入をリアルタイムで不審者と検出し、即座に警告通知を発することが可能です。
これらのAI機能を活用することで、漁港のセキュリティレベルを向上させると同時に、関係者の安全確保と、犯罪の抑止につながる管理体制の構築が可能となります。
人の目だけでは難しい出入りの管理を、AIが正確かつ効率的にサポートしてくれます。
AI検知機能③:侵入検知機能
漁港におけるAIカメラの「侵入検知機能」は、関係者以外の無断立ち入りや夜間の不審な動きを自動で感知する重要なセキュリティ機能です。
指定したエリアに侵入があった際、AIが即座に異常を検知し、管理者のスマートフォンや監視端末にリアルタイムで通知を送ることができます。
例えば、立ち入りが制限されている桟橋や漁具倉庫、燃料保管エリアなどに無断で侵入があった場合、即時対応が可能となり、被害を未然に防ぐことができます。
また、警報や照明と連動させることで、侵入者への威嚇効果も高まり、抑止力としても機能します。
これにより、警備員の巡回に頼らずとも、24時間体制の自動警備が実現し、人手不足が課題となる漁港の現場でも、効率的かつ確実な防犯対策が可能になります。
AI検知機能④:長時間滞在検知
漁港におけるAIカメラの「長時間滞在検知機能」は、特定の場所に不自然に長く留まっている人物や車両をAIが自動で検知する機能です。
通常、漁港内では関係者の出入りや作業は一定の時間内で行われるため、長時間同じ場所にとどまっている行動は、密漁や盗難、無断侵入などの不審な目的である可能性が高いと判断されます。
この機能により、AIはあらかじめ設定された滞在時間を超えた場合に異常と判断し、管理者にリアルタイムで通知を送信します。
たとえば、夜間に倉庫の前で動かない車両や、関係者以外の人物が桟橋周辺に長時間滞在している場合などに、迅速な対応が可能になります。
また、防犯だけでなく、体調不良や事故で動けない作業者の早期発見にもつながるため、安全管理の観点からも有効な機能です。
漁港に起こりやすい問題とAIカメラの具体的な活用方法
漁港において起こりやすい問題や、それらを取り締まることに役立つAIカメラの活用方法について解説します。
漁港の出入口・ゲートでの監視
漁港の出入口やゲートは、人や車両の出入りが頻繁に行われる場所であり、不審者の侵入や無断立ち入りが発生しやすいエリアです。
特に夜間や休日など人の往来が少ない時間帯には、密漁目的の侵入や漁具・燃料の盗難を目的とした車両の進入が懸念されます。
こうしたリスクに対し、AIカメラを設置することで、動体検知、侵入検知といった機能を活用し、不審な動きを即座に検知・通知できます。
また、顔認識や車両情報の記録により、出入り管理の記録やトラブル発生時の証拠映像の確保にも役立ち、漁港全体のセキュリティ強化に大きく貢献します。
桟橋・停泊エリアでの密漁・無許可接岸の監視
桟橋や停泊エリアは、漁船や作業船が頻繁に出入りする場所であり、密漁や無許可の接岸といった違法行為が発生しやすい区域です。
特に深夜や休漁日のように人の目が少ない時間帯には、外部からの無断接岸や漁獲物の積み出し行為などが行われるリスクが高まります。
こうした問題に対して、AIカメラを設置することで、動体検知や長時間滞在検知によって不審な船舶や人物の動きを即座に捉え、リアルタイムで管理者に通知することが可能になります。
これにより常時監視が難しい場所でも密漁や無断接岸を抑止し、安全な運営環境を維持するための強力な対策となります。
漁具・燃料貯蔵庫の監視
漁具や燃料の貯蔵庫は、高価な資材が集中的に保管されているため、盗難や不審者の侵入が特に懸念されるエリアです。
漁具には、定置網やロープ、船外機などは数十万〜数百万円するものもあります。
また、燃料も航行に欠かせない重要な資源で燃料貯蔵庫からガソリンが抜き取られるなど、大きな損失につながる可能性があります。
そのため、AIカメラを活用することで、倉庫周辺の動きを常時監視し、深夜や休業日などに不審な動きがあれば即時に通知を受け取ることができるため早急な対処に繋がります。
また、記録された映像は証拠としても活用でき、犯人の特定や再発防止策にもつながります。。
さらに、侵入検知機能や長時間滞在検知を組み合わせることで、倉庫の周囲に不自然にとどまる人物を早期に把握し、警戒を強化することも可能です。
こうしたAIによる監視体制の導入は、漁業資源を守ると同時に、現場の不安を軽減する手段として有効となります。
不法投棄の監視と抑止
漁港周辺では、漁業関係者以外によるゴミの不法投棄が問題となるケースが少なくありません。
特に、人気のない夜間や早朝に、一般家庭ゴミや建築廃材、釣り人によるゴミの放置などが行われることがあり、景観の悪化や衛生面のリスクにつながるため、港湾管理者にとって深刻な課題です。
例えば、漁港の海面下へ廃棄物を沈めて、不法投棄したことを分かりづらくしたり、あるいは産業廃棄物中間処理事業者が、運搬業者と結託して、漁港の敷地内に産業廃棄物を不法投棄するといった事件が発生することも考えられます。
また、録画映像により投棄行為の証拠を確保することも可能で、警察や自治体への通報・報告にも活用できます。
さらに、「監視中」の表示とカメラの存在そのものが抑止力となり、不法投棄を未然に防ぐ効果も期待できます。
人手による巡回が難しい場所でも、AIカメラの常時監視によって、清潔で安全な港湾環境を維持することが可能です。
漁港にAIカメラを導入する際の注意点
漁港にAIカメラを設置する時には、さまざまな注意点がありますので解説していきます。
初期導入コストと維持費用の考慮
AIカメラを導入する際に、初期費用と維持費用の両面を考える必要があります。
AIカメラは、本体の購入費用だけでなく、設置費用や設定費用、ネットワーク構築費用などがかかる場合があります。
設置費用は、AIカメラを適切な場所に設置する費用で、 電源設備や配線などを張り巡らす時に発生する費用です。
また、設定費用とは、AIカメラを管理するためのPCにインストールされているソフトウェアを、適切な状態に設定するための費用です。
AIカメラの機能を十分に発揮するためには、個々のAIカメラの機能と、AIカメラを管理するためのソフトウェアの連携を図る必要があります。
また、AIカメラを導入すると維持費用もかかるものもあります。
例えば、AIカメラを作動させるために必要な電気代や、インターネットに接続する時に欠かせない通信費、保守点検や修理にかかる費用などがあげられます。
インターネット環境と電源設備の確認
AIカメラは、安定した常時稼働をさせるための電源供給や遠隔監視やクラウド連携のためにインターネットを接続する環境が必要となりものもあります。
漁港では場所によっては電源や通信環境が整っていないこともあるため、事前に設置予定地の環境を調査し、必要に応じてモバイル回線やソーラー電源の導入を検討することが求められます。
カメラが正しく動作するためには、通信の安定性と電力供給体制がカギとなります。
AIの誤認識リスクと対策
AIカメラは大変機能性の高い防犯カメラですが、100%正しく異常を検知できるかというと、そうではありません。
異常が無いのに、誤って管理者に異常が発生したと通知してしまうこともあります。
例えば、ゴミ袋が風でたなびく動作を、AIカメラが異常と判断し、管理者に異常発生通知を送ってしまうこともあります。
最新のAIカメラは性能が高いので、誤認識は実際のところ、それほど多くはありません。
しかし、全く無い訳では無いので、AIカメラの定期的な保守管理をする時に、AIカメラの検知感度を調整することも必要でしょう。
まとめ
漁港では密漁や漁具・燃料の盗難、不法投棄などの問題が多発しており、AIカメラの導入が有効な対策となります。
AIカメラを導入することで、さまざまな検知機能を活用することができるため、不審行動を即座に通知でき、犯罪の抑止や早期対応に貢献します。
また、出入口や桟橋、貯蔵庫などへの重点設置により、漁港全体の安全管理が効率化され、安心な港湾環境の維持に繋がります。
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