近年、漁港において海産物の密漁や、漁港に仮置きしてある漁具あるいは船舶用燃料の盗難が相次いでいるようです。
このような犯罪を防ぐため、AI搭載型の防犯カメラを導入している漁業協同組合が増えつつあるようです。
今回は、漁港にAIを搭載した防犯カメラを設置する必要性や注意点などについて解説しますので、最後までご覧になり参考にしてください。
目次
漁港の防犯対策の重要性
漁港は、漁船を停船させたり、漁具を仮置きする場所となっているため、基本的には漁業関係者が利用する場所で、漁港特有のトラブルになりやすいことから一般人が出入りすることを制限している漁港も少なくありません。
その理由は、漁港特有のトラブルがあるからです。
例えば、釣り人が漁港の立ち入り禁止区域に侵入し釣りをしたり、漁港に仮置きしておいた漁具を盗まれたりすることが多発していることがあげられます。
特に釣りを禁止する漁港が増えている傾向があり、釣り人にとってはとても残念な状況にあります。
釣りを禁止する漁港が増えている背景には、釣り人のマナーの悪さが目立つからです。
釣り人のマナーの悪さが目立つ例として、漁船の進行を妨げるような場所で釣りをしていたり、釣り糸や釣りエサのプラスチックゴミを投棄したり、といった事があげられます。
また、漁港に仮置きしている漁具が窃盗に遭ったりすることもあるようです。
漁具の価格は意外と高価であり、例えば定置網は、100万円前後から数億円するものもあり、決して安くはありません。
そのため、漁具を窃盗し、それを転売しようと考える輩も多くいます。
このような観点から、漁港の安全性を管理するため、防犯カメラにより安全を確保を進めている漁業協同組合も増加傾向にあります。
AIカメラを漁港に設置するメリット
AIカメラを漁港に設置する4つのメリットについて解説します。
不審者や密漁者の監視と防止
第一のメリットは、漁港に侵入する不審者や密漁者を監視したり、犯行を防止することがあげられます。
実は、近年の漁業法令関連違反の取締り数の内、漁業関係者による違反数は減少しているものの、漁業関係者以外の密漁行為が増加している傾向にあります。
しかも、その犯行は組織化されており、悪質な密漁行為も少なくないようです。
このような背景もあり、漁港内の監視体制を高めるため、AIカメラを設置する漁業組合も増えています。
漁具・船舶・燃料の盗難対策の強化
第二のメリットは、漁具、船舶、燃料などの盗難に対する防犯効果があげられます。
例えば、2024年7月以降、宮城県気仙沼市の梶ヶ浦漁港に停船していた漁船から、ガソリンの盗難に遭う事件が立て続けに発生しています。
漁船において1回の航行で、ガソリン代は2〜3万円程度かかると言われており、このようなガソリンの盗難が多発すれば、漁業関係者の被害額も甚大なものになります。
また、漁港に仮置きしてある漁具の盗難被害も大きな被害が報告されています。
前述した通り、漁具は、物によっては100万円〜数億円するものもあり、気軽に買い替えられるような代物ではありません。
さらに、小型船舶に取り付けられている船外機(エンジン、ドライブユニット、プロペラなどの推進機)が数隻分窃盗に遭うといった犯罪も横行しております。
漁港内の安全管理と事故防止
第三のメリットは、漁港内の安全管理と事故防止を高めることです。
漁港では、水揚げ作業や荷役作業などが頻繁に行われます。
その時に、労災事故が発生することもあるので、AIカメラを設置しておくと、その事故の発生原因を把握しやすいというメリットがあります。
また、事故の発生原因を分析することが容易になるので、今後同じような事故が発生しないように注意喚起の声掛けができるようになり、安全管理にも繋がっていきます。
24時間監視による管理者の負担軽減と運用効率化
第三のメリットは、AIカメラを設置すると、漁港を24時間365日監視できることです。
したがって、防犯のために真夜中に見回りを行う必要がなくなり、防犯管理担当者の負担を大幅に軽減できます。
また、AIカメラの設置により、防犯体制を省力化することが可能なので、セキリティ体制の運用効率化を図ることもできます。
AIカメラを漁港に設置するデメリット
AIカメラを漁港に設置する3つのデメリットを解説します。
初期導入コストと運用コストの負担
第一のデメリットは、初期導入コストや運用コストを負担しなければならないことです。
初期費用は、導入するカメラの性能や台数によって変化はありますが、10万〜数十万円を見ておく必要があるでしょう。
また、カメラを起動させるための電気代や、カメラをインターネットに接続するための通信費、カメラが正常に稼働しているかを確認するための保守管理費などの運用コストもかかるため、AI型防犯カメラを導入するには、初期導入コストと、カメラ設置後の運用コストが必要であること認識しておきましょう。
AIの誤認識やシステムトラブルのリスク
第二のデメリットは、AIカメラでは、不審者の誤認識やシステム障害が発生する可能性があることです。
AIカメラは、性能が高いですが、それでも映像に移った人物の誤認識は起こりえます。
そのため、カメラに映った漁業関係者を不審者として認識してしまったり、ゴミ袋が風でなびいている状態を異常と認識してしまったり、100%正確に不審者あるいは異常状態を認識することは難しいでしょう。
プライバシーの懸念とデータ管理の課題
第三のデメリットは、プライバシー問題と、蓄積される映像データの管理に関する課題です。
AIカメラは、性能が高いので、誰がいつ、どこに居たのかを追跡する能力があります。
そのため、個人のプライバシーを侵害する可能性があることが危惧されています。
また、日々蓄積される映像データをどのように管理するかも課題の一つです。
なぜなら、プライバシーを侵害する可能性がある映像データが、高品質のまま蓄積されるため、特定の人の過去の行動が記録されてしまうので、映像データの閲覧権限を慎重に管理することが求められます。
AIカメラ導入時の注意点と適切な設置場所
AIカメラ導入に関する注意点と設置場所について解説します。
効果的な監視エリアの選定(桟橋・出入口・倉庫・駐車場など)
AIカメラの適切な設置場所は、船舶が停泊している桟橋や、漁港の出入口、あるいは漁港の敷地内にある倉庫や駐車場があげられます。
特に、駐車場は監視するのに適した場所と言えます。
その理由は、不審者は多くの場合、自動車で漁港に来るからです。
なぜなら、漁港から物品を窃盗する時に、運び出す手立てとして、自動車を利用することが考えられるからです。
そのため、AIカメラを設置する時は、駐車場を重点的に設置することを検討するのが良いでしょう。
AIカメラの運用ルールとデータ管理のポイント
AIカメラを導入する時には、その運用ルールと、定期的なデータ管理を行う必要があるでしょう。
運用ルールを事前に定めておけば、異常事態が発生した時に、迅速に対応することができます。
また、定期的にデータ管理を行うことで、AIカメラでは検知できなかった異常を発見することにつながります。
既存の漁港管理システムとの連携と最適な運用方法
既存の漁港管理システムと、新しく導入するAIカメラの連携がしやすいように、システム同士の相性の良さも気に留めておきましょう。
AIカメラがどんなに性能が良くても、既存の管理システムとの相性が合わなければ、高度なセキュリティを維持することはできないからです。
また、AIカメラの運用方法をきちんと検討しておき、運用担当者を誰にするのか、あるいはトラブルが発生した時に、どのような手順で対応するのかなどの運用方法について、しっかりと決めておく必要があります
まとめ
漁港における海産物の密漁や漁具・燃料の盗難といった深刻な問題に対し、AIカメラは不審者の監視や24時間体制での自動警備、事故原因の可視化など、多面的な防犯強化を可能にします。
一方で、初期コストやプライバシーの問題、誤検知への対応といったデメリットも存在し、導入にあたっては慎重な検討が必要です。
また効果的な運用には、設置場所の選定、明確な運用ルール、既存システムとの連携が不可欠です。
もし、防犯カメラの選び方やAI搭載防犯カメラについて不安に感じている方、詳しい情報が知りたいという方は、お電話もしくはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。
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