漁港では密漁が横行しており、密漁行為の組織化も懸念されていて、密漁行為を役割分担して、チームで犯罪を行う事例も多くなってきています。
そこで、漁港協同組合は、密漁行為を抑制あるいは防止するため、AI搭載防犯カメラに注目し、漁港内にAI搭載防犯カメラを設置することが勧めらています。
今回は、漁港における密漁問題とその対策、AI搭載防犯カメラを利用した監視体制の特徴、AI搭載防犯カメラを設置するメリットなどについて解説しますので、最後までご覧になり参考にしてください。
目次
漁港における密漁問題と防犯対策の必要性
ここでは、漁港での密漁問題とその防犯対策の必要性について解説します。
密漁の現状と漁港が抱える課題
令和4年以降の漁業法令違反件数は3年連続で2500件程度にのぼり、高水準で推移しており、海上保安庁としては厳しい取締りを実施していますが、それでも、密漁などの漁業法令違反を根絶するのは難しい現実があります。
また、近年は漁業関係者による密漁が減少傾向にあるのに対して、漁業関係者以外の人物による密漁が増加傾向にあります。
さらに、前述した通り、密漁は単独犯から組織犯罪へと変化しており、実行犯役や見張り役などの役割分担をして、組織的に密漁を行う事例が増えてきています。
この組織化された密漁の背後には、暴力団などが絡んでいることも推測されており、密漁取締りを一層困難にさせてしまっているようです。
従来の防犯対策の限界とAI監視システムの重要性
これまで、漁港で相次ぐ密漁を防ぐため、漁業協同組合関係者による防犯パトロールや、海上保安庁による取締りの強化など、漁港の監視体制は強まっています。
しかし、このような防犯対策を実施しても、密漁を防ぎきれていないのが現状です。
それは、人手に頼る防犯では、24時間365日漁港を監視することは難しいので、防犯体制の隙を狙った密漁を抑止できないことが原因として考えられます。
このような背景もあり、さらに漁港の監視体制を強固にする必要に迫られています。
そこで、今注目されているのが、AI搭載防犯カメラを利用したAI監視システムです。
AIを利用した監視体制ならば、24時間365日漁港を監視することができる上に、人的リソースを割く必要がないため、必要最低限の人手で、広域な漁港全体を監視できます。
AIカメラを活用した最新の監視システムとは?
AIカメラを活用した監視システムがどのようなものか解説していきます。
AIカメラと従来の防犯カメラの違い
従来の防犯カメラは、設置されたエリアをカメラが24時間監視あるいは録画することで、トラブルが発生した時に、迅速に対応したり、録画映像を手がかりとして、トラブルを引き起こした犯人を特定することに用いられていました。
ただ、この方法だと、防犯カメラを常に監視者が見張っていなければならず、交代制で人手による監視を行う必要があります。
しかし、AIカメラを利用した監視システムでは、人手に頼った24時間体制の監視は必要なく、不審者が漁港に侵入してきたり、異常が発生した時にだけ、監視者に通知する体制を築くことができます。
このため、人手によるパトロールの頻度を最小限に減らすことができる上に、人が24時間体制で監視する必要もありません。
AIカメラの検知機能
AIカメラには、高精度な検知機能がいくつか備わっており、防犯対策として動体検知機能や顔認証機能などの機能があげられます。
顔認証機能は、人の顔の特徴を分析する機能で、人物の特定を迅速に行うことができます。
AIカメラの動体検知機能は、カメラが映している範囲内で“動いているもの”を見つけて自動で検知し、即座に通知とリアルタイムの映像を確認することができる機能です。
たとえば、昼間は静かな桟橋に夜中に人影が動いたり、車が港内に進入してきたりすると、AIがすぐに検知してアラートを出します。
通常の防犯カメラはただ録画しているだけですが、AIカメラは「動いた」「誰か来た」とリアルタイムで判断できるのが特徴です。
漁港では、夜間の不審者の侵入や密漁の兆候を早い段階で見つけるために“常に目を光らせている番人”のような存在として非常に役に立ってくれます。
AI監視システム導入のメリットと期待できる効果
AIカメラを利用したAI監視システムを導入するメリットなどについて解説します。
密漁・不審者侵入の抑止と即時対応
AIカメラは、不審者が監視エリア内に侵入すると、瞬時に異常を検知して、管理者のスマートフォンやタブレット、PCなどに通知します。
そのため、不審者への素早い対応や、密漁行為が行われた時に迅速に取り締まったりすることができます。
また、リアルタイムの映像を確認することができるため、不審者なのか人間の目で精査することもできます。
警備員の負担軽減と警備コストの最適化
従来の防犯カメラでは、犯行に気づくのは犯行が行われてから翌日の朝もしくは数日経ってから発覚することが多いとされています。
そのため、通報から犯人逮捕までにかなりの日数が経過してしまい、事件解決までに時間がかかりやすいとされていました。
しかし、AI監視システムでは、24時間365日自動で監視してくれて、AIの検知機能から即座に通知が来るため、リアルタイムでの犯罪対策や対処が可能となります。
そのため、警備員の人数や警備にかかる人件費を最適化することにつながります。
証拠映像の保存と警察・自治体との連携強化
AI監視システムを導入すると、密漁行為などが行われた時に、映像を証拠として記録することができます。
そして、その証拠映像を警察や海上保安庁あるいは、自治体に共有し、地域で連携を図ることで迅速な犯人逮捕にもつながります。
また、AIカメラにより犯人を追尾することで、逃走方向も把握でき、逃走ルートを絞ることにもつながります。
AIカメラを活用した密漁対策の新たなアプローチ
AIカメラを活用した新しい密漁対策の監視体制について解説します。
漁港ごとのリスク分析とデータを活用した対策の最適化
全国各地に点在する漁港において、各漁港ごとに密漁リスクの傾向が違います。
そのため、各漁港で、どのような密漁が多いのか、リスク分析を行うことも重要です。
また、リスク分析により蓄積されたデータを活用して、効率的な防犯対策を築くことも可能です。
例えば、その漁港内で、密漁が多く発生している場所や、密漁されている水産動植物は何なのかをデータとしてまとめておけば、漁港内のどこを重点的に監視するべきかを把握することもできます。
密漁対策の透明化と関係者へのリアルタイム情報共有
AIカメラを活用することで、密漁対策の透明化と漁港協同関係者への迅速な情報共有が可能です。
AIカメラを利用すると、監視エリア内に不審人物が侵入してきた時に、管理者へ自動で通知が届きます。
また、AIカメラはインターネットに接続しているカメラなので、監視エリア内の状況をリアルタイムで確認することもできます。
そして、AIカメラの大きな特徴として、異常が発生した時に、管理関係者全体に異常な状態を知らせることもできます。
これにより、密漁対策をチーム一丸となって進めることができます。
効果的なAIカメラの運用方法と最適な設置場所
AIの効果的な運用方法や最適な設置場所の選び方を解説します。
漁港のどこに設置すべきか?効果的な監視エリアの選定
AIカメラを導入するにあたり、よく検討すべき事項に、AIカメラをどこに設置するかということがあげられます。
効果的なAIカメラの設置場所は、停泊させている漁船近辺や、水産物が保管されている倉庫の近辺です。
漁船近辺にAIカメラを設置する理由は、漁船の船外機と呼ばれるエンジンなどが、丸ごと窃盗に遭う事例が報告されています。
また、漁港の倉庫近辺には、陸揚げした貴重な水産資源を保管してあることもあり、窃盗のターゲットになりやすいです。
AIカメラと既存の防犯システムとの併用
AIカメラを主体とした監視体制を形成するメリットは大変大きいですが、だからと言って、警備員などの人手をゼロにする監視体制を築くのは避けた方が良いでしょう。
例えば、漁港入口のゲートに警備員を配置することや、警備員や漁港協同組合の関係者による巡回パトロールは、AIカメラを導入した後も続けるのが最善です。
AIカメラを利用し、さらに警備員を配置した監視体制を整えることができれば、強固な防犯体制を形成することができます。
長期的に運用するためのメンテナンスと監視データの活用
AIカメラはとても優れた監視体制を作ることができますが、定期メンテナンスを実施する必要があったり、監視データの活用を効率的に行わないと、そのメリットを最大化させることはできません。
AIカメラの定期メンテナンスでは、カメラ本体の整備や、ソフトウェアのアップデートを行う必要があります。
また、監視データはAIカメラの動体検知機能により、動く物体が映った時にだけAIカメラが作動し、その時のデータしか記録されません。
しかし、それでも24時間365日作動させることで、膨大な動画データが蓄積されるため、監視データを上手く活用していきましょう。
まとめ
漁港では近年、密漁の組織化や巧妙化が進み、見張り役や実行犯などが役割分担して犯罪を行う事例が増えています。
これに対し、漁港関係者や海上保安庁によるパトロールや取り締まりが行われていますが、人手不足や監視の限界がネックとなり、密漁を完全に防ぐことは困難な状況です。
そのため、最新技術のAIを搭載した防犯カメラで常に高い検知機能により不審者をリアルタイムで検出できるため、新たな防犯対策として注目されています。
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