物流倉庫では、荷物の保管エリアが広大である一方、夜間や休業日の無人時間帯における火災や不審者侵入のリスクが見落とされがちなため、サーマルとビジュアルを搭載したカメラがおすすめです。
特に荷物の密集やパレット、可燃物が多い環境では、ちょっとした異常が大きな損害につながる恐れも考えられるため、従来の監視カメラだけでは対応しきれなかったリスクをAIにより即座に通知されることでいち早く異常を察知し対処することができるようになります。
今回は、物流倉庫の監視カメラはサーマルカメラにより火災と侵入リスクを同時に強化できる理由などについて解説していきますので、最後までご覧になり導入や買い替えの参考にしてください。
目次
物流倉庫におけるリスクと課題
物流倉庫は「モノを集積・保管・出荷する」重要な中継地点でありながら、防犯・火災・業務事故といった多様なリスクにさらされています。
特に以下のような課題は、多くの現場で共通して見られる深刻な懸念点なのでしっかり確認しておきましょう。
物流倉庫のリスクと課題①:火災リスクの潜在化
物流倉庫では、大量の段ボール・パレット・可燃物が密集しており、たとえ小さな火元から出火しても延焼のスピードは想像以上です。
さらに、電源設備、リフト用バッテリー、モーター付きコンベアなど、熱を発生する装置や電気系統の異常加熱が火元になるケースも多く、目に見えない「予兆」をいかに早期に検知するかが重要な課題となります。
物流倉庫のリスクと課題②:侵入・盗難対策の難しさ
大型で死角の多い物流倉庫では、不審者の侵入や内部犯行による盗難・持ち出しなどによる被害やトラブルが多く存在します。
しかも、従来の可視カメラだけでは、夜間の暗所や構内奥部の影に潜む人物の発見が困難であり、事後の映像確認では犯人を特定できないケースもあります。
また、出入口が多い施設では、動線管理と映像監視を両立させる工夫が不可欠となっています。
物流倉庫のリスクと課題③:夜間・無人時間帯の監視精度低下
倉庫の多くは24時間体制で稼働するわけではなく、夜間は無人になる時間帯も存在します。
この時間帯に限って火災が発生したり、不審者が侵入したりするリスクが非常に高くなります。
しかし、従来の赤外線カメラでは温度変化を捉えられないため、煙や火が出るまで異常を察知できないという限界もあります。
物流倉庫のリスクと課題④:多拠点管理と運用負荷の増加
全国に複数の倉庫を持つ企業の場合、それぞれの施設における監視の一元化が課題となります。
人手による巡回や映像チェックでは限界があり、異常を見逃すリスクや対応の遅れが業務継続に影響を及ぼす可能性もあります。
このように、物流倉庫では「火災」「侵入」「無人時間帯の異常」「運用の属人化」といった多層的なリスクが存在します。
これらを一括してカバーできる監視体制の整備が、今、あらゆる倉庫運営者に求められているのです。
従来の監視カメラでは見えない“リスク”を捉える
長年にわたり物流倉庫のセキュリティを支えてきた可視光カメラシステムですが、現代の複雑化したリスクに対しては構造的な限界が明らかになっています。
可視カメラでは熱異常や暗所での不審者を見逃しやすい
物流倉庫で広く使われている従来の可視光カメラは、明るさと視界に依存するため、棚の裏側や死角、暗所では正確な監視ができません。
また、発煙や火災が起きる前段階の“熱異常”は映像では判断できず、事後対応に遅れが出やすいという課題があります。
サーマル+AIで予兆の段階から検知可能
AI搭載のサーマルカメラであれば、暗闇でも体温や発熱を捉えられるため、侵入者の発見や発火前の温度上昇に即時対応が可能です。
また、AIは対象物の動きや形状を識別し、不審な人物のみを検知してアラートを出すため、誤検知も大幅に削減されます。
サーマルカメラ+AIが倉庫リスクに強い理由
熱画像技術による予兆段階でのリスク検知
サーマルカメラは、物体が放射する赤外線を検知して温度分布を映像化する技術を搭載した監視カメラです。
特に工場や倉庫における機械や電源周りの異常発熱や、高温になる箇所などを色によって温度を把握し、異常温度をリアルタイムで検知することが可能です。
そのため、煙や炎が出る前に“温度の異常”をいち早くリアルタイムで気づくことができるため、早期の適切な対応ができます。
絶対温度測定による客観的判定
可視光に依存せず、物体の表面温度を数値や色により目視でわかりやすく、測定誤差も極めて低いため、高精度の温度測定ができます。
これにより「何度以上は異常」という明確な判定基準を設定でき、主観的な判断のばらつきを排除することが可能です。
環境条件に左右されない安定監視
暗闇、逆光、煙、霧などの視界を妨げる条件下でも、温度情報に基づく安定した監視が可能です。
これは従来の可視カメラでは実現できないため、大きなアドバンテージです。
広範囲の同時温度監視
一台のサーマルカメラで、視野内のすべての点の温度を同時に監視することができます。
これにより、複数の設備や広範囲のエリアの温度異常を効率的に検知することが可能です。
AI技術による高精度な異常パターン認識
最新のAI技術により、単なる温度測定を超えた高度な異常検知が可能になります。
機械学習による正常パターンの学習
AIは過去のデータから正常時の温度パターンや人の動きのパターンを学習し、それから逸脱した異常を自動検知します。
また、時間帯、季節、作業内容による正常パターンの変動も考慮して高精度な判定をすることも可能です。
誤検知の大幅削減
従来のセンサーベースシステムでは頻発していた誤検知を、AIの学習能力により大幅に削減できます。
正常な作業による温度変化と異常な発熱を区別し、本当に対応が必要な異常のみをアラートします。
また、異常の検知が通知されたとしても、リアルタイムの映像を確認することで現在の状況を正確な状況を把握し、現状に合わせて対処することも可能です。
NSKの「IP-P8104TP」が物流倉庫に最適な理由
物流倉庫にNSKのサーマル×ビジュアルのデュアルAIカメラが最適な理由について商品の説明と共に紹介していきます。
製品の性能概要
高所からの俯瞰監視に対応
広い倉庫全体をカバーするには、高所設置に対応したカメラが必要となってきます。
「IP-P8104TP」は、IR照射距離が30mあり、人間の検出距離が146m、車両検出の場合は449mと遠距離からでも人や車両を検知することができます。
熱と映像を一元管理できるデュアルセンサーモデル
サーマルと可視光の2種類の映像を同時取得できるため、異常の温度と現場状況の両方を記録・確認できます。
温度測定は、-20°~+550°という広範囲かつ、±2°の高精度の温度測定を備えており、物体の表面温度を測定し、設定した閾値(しきいち)を超えるとアラームをトリガーします。
設定した各エリアの「平均温度」「最低温度」「最高温度」をリアルタイムに測定し監視します。
そして、異常な温度変化が検出されると火災検知機能によりアラームがトリガーされ、早期発見することで火災リスクを低減します。
防塵・防水・耐候性能で屋外ヤードにも対応
IP67の防塵防水性能を備えており、屋外の荷捌きヤードや資材置き場などでも安定稼働させることも可能です。
温度監視と侵入監視を同時にこなせるため、導入後すぐに多目的で活用可能です。
その他機能
その他にも「喫煙検知」「通話検知」が備わっています。
- 喫煙検知:人の喫煙行動とタバコの温度から喫煙行為を検知し、「音と光」で警告します。 火災の原因の一つである無秩序な喫煙行為を抑止
- 通話検知:電話禁止エリアで電話をかけている行為を検知し、「音と光」で警告します。 可燃性ガスの爆発や危険運転などを引き起こすリスクを低減
AIカメラ導入時のエリアごとの活用方法
AIカメラ活用エリア①:倉庫内は可燃物密集地を優先監視
段ボール・パレットなど可燃物の多いエリアを中心に、熱異常の早期発見を目的とした固定型カメラの配置が有効です。
AIカメラ活用エリア②:出入口・裏口・フェンス周辺の侵入対策
人目が届きにくい裏口や資材ゲート付近には、人物検知AI機能付きカメラを設置することで、侵入リスクの早期検出が可能になります。
AIカメラ活用エリア③:高所俯瞰による全体モニタリングも重要
倉庫全体を把握する目的で、屋根や壁面の高所に長距離対応型カメラを設置することで、移動するフォークリフトや夜間の異常発熱も俯瞰できます。
AI搭載サーマルカメラ導入時の注意点と効果的な運用方法
AIカメラ導入の注意点①:死角や稼働ルートを踏まえた設置位置の設計
倉庫の構造によっては、通路や棚の間などカメラの死角が発生しやすいため、配置計画時は必ず高所・壁面・裏口など複数の角度から監視できるよう設計することが重要です。
AIカメラ導入の注意点②:異常検知時のフローをマニュアル化しておく
サーマルカメラ導入後は、異常を検知した場合の対応フロー(通知先、確認手順、作業の中断判断など)を明確に定めておきましょう。特に無人時間帯のアラートに即応できる体制整備が効果を最大化させます。
AI搭載サーマルカメラ導入の注意点③:誤検知・過検知への対策を講じる
AIサーマルカメラは高精度で異常を検知しますが、外気温の急変・反射熱・動物などによって誤検知や過剰なアラーム発報が発生するケースもあります。
これを防ぐには、以下のような運用対策が有効です。
- 検知エリアやしきい値(温度差など)の適切な設定
- AIの再学習・チューニングによるフィルタリングの精度向上
- アラート優先順位の設定(軽微なアラームはログ記録のみにする等)
もし誤報を放置すると「アラーム慣れ」によって実際のリスクに気付けなくなる恐れがあるため、導入後の運用管理が鍵となります。
AI搭載サーマルカメラ導入の注意点④:データ保存とプライバシー保護の整備
AIカメラは常時映像+温度情報を記録するため、データの取り扱いについて明確なルール整備が不可欠です。
- 映像データの利用目的や運用目的の明確化
- 保存期間・保存範囲・アクセス権限の明確化
- 社員や作業員への事前説明・同意取得
特に個人の顔や行動が記録される環境では、労働者とのトラブル防止や個人情報保護法など法令遵守の観点からも、管理体制の整備が重要となります。
まとめ
サーマルカメラは、物流倉庫のような無人時間が多かったり人の出入りが多い環境にこそ効果を発揮します。
また、サーマルだけのモデルではなくAIを搭載した最新モデルを導入することで、火災・侵入・設備異常といった多面的なリスクを1台でカバーでき、現場の安全性と管理効率が大幅に向上します。
特に「IP-P8104TP」は、倉庫の屋内・屋外を問わず高精度な監視を実現できるモデルとしておすすめなので、倉庫の火災・盗難対策の強化をお考えなら、ぜひ新たに導入または買い替えの際はご検討ください。
もし、AI搭載の監視カメラの選び方について不安に感じている方、詳しい情報が知りたいという方は、お電話もしくはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。
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株式会社NSKは監視カメラ・防犯カメラ・セキュリティ機器のメーカーです。
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