太陽光発電所の送電用銅線ケーブルが盗まれる事件が多発していることから、防犯カメラによるセキュリティ構築に注目が集まっています。
特に、従来の防犯カメラよりもAIを搭載した防犯カメラの高精度な検知機能を活用することで高いセキュリティレベルの防犯対策を講じることができます。
今回は、太陽光発電所の電線盗難対策にAI搭載防犯カメラがおすすめな理由などを解説していきますので、ぜひ最後までご覧になり参考にしていただければと思います。
目次
太陽光発電所の電線盗難対策の必要性
太陽光発電は、再生可能エネルギーの主力として期待されていますが、その一方で、電線盗難という深刻な問題に直面しています。
警察庁の統計によると、太陽光発電所の電線盗難被害は発生件数も被害総額も年々増加傾向にあり、損保による保険支払金が22年度には約133億円に膨らみ、23年度は上半期だけで約124億円に達しているほど増加しているようです。
太陽光発電所が設置されている場所は、人里離れた広大な敷地で人の気配がないところが多いため防犯対策が必須となる環境にあります。
なかには太陽光発電所は「犯罪に巻き込まれることはない」と防犯対策されていない方も少なくありません。
しかし、敷地が大きければ大きいほど送電線も大量に敷設されており、送電用銅線ケーブルを狙った窃盗犯からしたら、防犯対策を施していない設備はボーナスステージのような宝の山として標的にされてしまいます。
万が一、電線が盗難されてしまった場合、太陽光発電の停止による電力供給への影響や、電力供給停止による経済的な損失、さらに復旧作業に伴うコストや時間的ロスなども発生しまうため、発電事業者にとっては莫大な経済的損失をもたらします。
そのため、太陽光発電所の事業者は、必ず電線盗難対策を強化し、いたずらや盗難による被害を未然に防ぐ必要があります。
従来の防犯カメラによる対策の限界
太陽光発電所の防犯対策としては、フェンスや有刺鉄線、防犯カメラ、警備員の巡回などが考えられますが、特に人による監視や従来の監視カメラに限界があります。
人による監視の場合、24時間365日体制で行うためにはコストがかかりすぎますし、警備員の注意力も常に維持できるとは限りません。
また、従来の防犯カメラでは、死角、夜間や悪天候時には鮮明な映像が得られないなどの問題がありました。
さらに、従来の監視カメラは、録画された映像を後から確認する必要があり、リアルタイムでの対応が難しいという課題もあります。
そのため、電線を盗まれてしまうことや電線が盗まれてから気づくまでの時間、警察への通報までに時間がかかってしまいます。
しかし、これらの課題を解決することができるソリューションがAI搭載の防犯カメラです。
AIによる画像解析技術を活用することで、リアルタイムに不審者を検知し、通知やアラートを発することができるため、犯行を未然に防いだり、早期発見から通報までをスムーズにすることが可能となります。
太陽光発電所におすすめなAI搭載防犯カメラの機能性
AI搭載防犯カメラは、高度な画像解析技術を活用することにより太陽光発電所の銅線ケーブルなどを窃盗から守る役割を担っています。
太陽光発電所におすすめできるAI搭載防犯カメラの機能性について紹介していきます。
人物検知
AIは、ディープラーニングアルゴリズムによって、大量の画像データを学習し、人物の特徴を捉えるパターンを習得しています。
高感度熱源センサーにより人間の体温を感知し、周囲の環境や照明条件に左右されず、昼夜を問わず人物を検知することが可能です。
AIにより人物を検知すると、連携しているスマートフォンやタブレットなどの端末へ瞬時に通知され、リアルタイムの監視映像を配信します。
もし、管理者が現場にいなくても、いつでもどこでも発電所の状況を把握し、異常が発生した場合には警察へ通報するなど迅速な対応ができます。
また、電線の窃盗は夜間が多いといわれているため、夜間に人物が検知される場合は窃盗犯の可能性が非常に高いといえます。
そのため、人物検知にセンサーライトや警告音を設定することによる犯罪抑止と、近くの警察への通報を連携させることで、被害に合いにくいセキュリティの高い環境を構築することが可能となります。
不審行動分析
AI搭載防犯カメラは、人物検知に加えて、高度な不審行動(異常行動)による分析機能を備えています。
AIが人物の動きをリアルタイムで解析し、予め設定された不審行動パターンと照合することで、異常を検知します。
・侵入検知:フェンスを乗り越えたり、特定エリアに侵入したことを検知します。
・徘徊検知:特定のエリアを長時間うろついたり、歩き回っている行動を検知します。
・物体の持ち去り検知:電線や工具など、物体を持ち去ろうとする動きを検知します。
・不審な姿勢や動作の検知:しゃがんだり、身を隠したりするなど、不審な姿勢や動作を検知します。
これらの動きをAIが自動検知することで、不審者を特定し、端末へ通知および、カメラ本体からアラーム音や録音データを発することで窃盗犯へ警告することも可能です。
また、検知する行動パターンは、設置場所や環境に合わせてカスタマイズすることもできます。
例えば、夜間のみ「特定エリアへの侵入を検知する」といった設定も可能です。
アラート通知と録画
AIによる不審な人物や行動を検知すると、即座にアラート通知を発信することができます。
通知方法は、メール、SMS、アプリ通知など多岐にわたり、管理者は迅速に状況を把握し、適切な対応を取ることができます。
例えば、AIが不審者を検知し、リアルタイムの状況を把握してから警察へ通報することで、警察が現場へ到着する時間も効率化されます。
また、太陽光発電所と交番や警察署に距離がある場合は、現場に到着するまでに時間がかかるため、センサーライトと警告音により威嚇することで被害を防ぐことにもつながります。
さらに、AIによる検知機能が備わっていることで、不審な状況を検知した時点から自動的に録画を開始しすることができるため、電源確保ができない・常時録画が難しい環境でもソーラーバッテリー搭載のカメラが選べるなど、環境に適した機種を選ぶことが可能になります。
太陽光発電所向けAI搭載防犯カメラの選び方
太陽光発電所向けにAI搭載防犯カメラを選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
設置場所や環境に合わせたカメラの種類
広大な敷地を持つ太陽光発電所では、設置場所によって求められるカメラの種類が異なります。
PTZカメラ(パン・チルト・ズームカメラ)
広範囲を監視する必要があるフェンス沿い、出入り口、太陽光パネル全体を見渡せる高所などに最適です。
PTZカメラは、水平方向(パン)、垂直方向(チルト)、ズームの3つの動きを遠隔操作できるため、死角を最小限に抑えられます。広大な太陽光発電所では、固定式のカメラだけではカバーできない範囲も出てくるため、PTZカメラの柔軟性は大きなメリットとなります。
また、光学ズーム機能を備えたPTZカメラであれば、遠く離れた場所にある太陽光パネルの異常や不審な動きを詳細に確認することも可能です。
バレットカメラ
その名の通り、筒状の形状をしており、設置場所によっては威嚇効果も期待できます。
バレットカメラは、高画質・高解像度での撮影に優れており、ズーム機能を使えば、遠く離れた場所にある電線や機器の細部まで鮮明に確認できます。
また、夜間撮影に強い赤外線照射機能や、雨風に耐えられる防水・防塵機能を備えたモデルも多く、太陽光発電所の過酷な環境下でも安定した運用が可能です。
ドームカメラ
天井や壁面に設置するタイプのカメラで、その名の通りドーム型の形状が特徴です。
ドームカメラは、全方位を監視できるため、死角が少ないというメリットがあります。
また、コンパクトで目立ちにくく、設置場所を選ばないため、太陽光発電所の景観を損ねたくない場合に適しています。さらに、ドーム型のカバーによってカメラレンズが保護されているため、風雨や塵埃からカメラを守り、耐久性を高める効果も期待できます。
夜間撮影機能や耐候性の重要性
夜間撮影機能
太陽光発電所は24時間365日稼働しているため、夜間でも鮮明な映像を撮影できるカメラが必須です。
・赤外線カメラ:赤外線を照射して暗闇を照らし出すことで、夜間でもモノクロ映像を撮影できます。比較的安価で導入しやすいですが、霧や雨などの影響を受けやすいというデメリットもあります。
・スターライトカメラ:スターライトセンサーを搭載しており、月明かり程度のわずかな光でもカラー映像を撮影できます。赤外線カメラよりも高画質ですが、価格も高くなります。
・サーマルカメラ:熱を感知して映像化するカメラで、夜間や霧、雨などの視界不良時でも人物や車両を検知できます。太陽光パネルの異常発熱を検知することで、故障や火災のリスクを早期に発見できるというメリットもあります。
耐候性
太陽光発電所は屋外に設置されるため、カメラは過酷な環境にさらされます。雨、風、直射日光、砂塵、温度変化など、様々な要因に耐えうる性能が求められます。
・IP等級:IP等級とは防塵・防水性能を表す国際規格のことです。IP66以上は、粉塵の侵入を完全に防ぎ、あらゆる方向からの強い噴流水にも耐えられることを意味します。太陽光発電所のような屋外環境では、IP66以上のカメラが推奨されます。
・動作温度範囲:カメラが正常に動作する温度範囲を確認しましょう。特に、夏場の直射日光があたる場合の高温や、寒冷地の冬場の低温に耐えられるかどうかに注意が必要です。
・耐衝撃性:風や振動による影響を受けにくい構造、いたずらによる落下時の故障などを防ぐことができるか確認しましょう。
・耐腐食性:海沿いの太陽光発電所では、塩害対策も重要です。筐体が錆びにくい素材でできているか確認しましょう。
ストレージ容量とデータ管理
AI搭載防犯カメラは高画質かつ、AIによる分析を行うため、データ量が大きくなることが考えられるため十分なストレージ容量を確保し、効率的なデータ管理を行うことが重要です。
・ストレージの種類
・ローカルストレージ:カメラ本体や外部レコーダーに記録媒体(SDカード、HDDなど)を挿入してデータを保存します。導入コストは抑えられますが、容量に限りがあり、故障や盗難のリスクも考慮する必要があります。
・クラウドストレージ:インターネット経由でクラウド上にデータを保存します。容量の拡張性が高く、遠隔地からのアクセスも容易ですが、安定したネットワーク環境が必要です。
・ハイブリッドストレージ:ローカルとクラウドの両方にデータを保存する方式です。ローカルストレージの故障時にもクラウド上にバックアップが残るため、安全性が高いといえます。
ストレージ容量
必要なストレージ容量は、カメラの台数、解像度、フレームレート、録画時間、圧縮方式などによって異なります。高画質で長時間の録画を希望する場合や、複数のカメラを設置する場合は、大容量のストレージが必要になります。
データ管理機能
録画データの検索、再生、ダウンロードなどの機能が充実しているか確認しましょう。AI分析結果に基づいた検索機能や、イベント発生時の自動通知機能があると便利です。
AI搭載防犯カメラ以外の対策を組み合わせる
AI搭載防犯カメラは、強力な坊何ツールで電線盗難対策として非常に有効ですが、これだけで万全というわけではありません。
他の防犯対策と組み合わせて、総合的なセキュリティ対策を構築することが重要です。
AI搭載防犯カメラと併用することで、さらに効果を発揮する対策について紹介します。
物理的な侵入防止対策
・フェンス:敷地全体を囲むフェンスは、侵入を防ぐための基本的な対策です。高さや素材を工夫することで、より高い防犯効果が期待できます。
・有刺鉄線:フェンスの上部に有刺鉄線を設置することで、侵入をさらに困難にします。
・センサーライト:人感センサーで人を感知すると自動的に点灯するライトです。不審者を威嚇し、犯罪を抑制する効果があります
・防犯砂利:敷地に防犯砂利を敷き詰めることで、侵入者の足音を大きくし、存在を知らせることができます。
監視体制の強化
・警備員巡回:定期的な巡回を行うことで、不審者の早期発見や、設備の異常をいち早く察知できます。AI搭載防犯カメラと連携することで、より効率的な巡回が可能になります。
・遠隔監視システム:複数の発電所を集中管理する場合は、遠隔監視システムの導入が効果的です。リアルタイムで各発電所の状況を把握し、異常があれば迅速に対応できます。
地域との連携
・近隣住民への情報提供:太陽光発電所の存在や防犯対策について近隣住民に周知することで、地域全体で防犯意識を高めることができます。
・警察との連携:地域の警察署と連携し、定期的なパトロールを依頼したり、不審者情報などを共有したりすることで、防犯体制を強化できます。
その他の対策
・警報システム:侵入を検知すると大音量の警報を発するシステムです。不審者を威嚇し、周囲に異常を知らせることができます。
・保険加入:万が一、盗難被害に遭った場合に備えて、保険に加入しておくことも重要です。 これらの対策を組み合わせることで、太陽光発電所のセキュリティを多層的に強化し、電線盗難などのリスクを大幅に低減することができます。
まとめ
AI搭載防犯カメラによるリアルタイムで不審者を検知・警告することや警察への対応も迅速行うことができるため、電線盗難を未然に防ぐことに繋がります。
また、AI搭載防犯カメラだけでなく、侵入防止柵やセンサーライト、地域住民との連携、保険加入など、他の防犯対策も併用することで、より強固なセキュリティ対策を構築することができます。
太陽光発電所の電線盗難は深刻な問題であり、事業者は早急に対策を講じる必要がありますので、わからないことや不安に感じている方は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。
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