製造業などの工場では、電気設備や高温機器の加熱トラブルによる火災リスクが常につきまとっているため、従来の監視カメラよりもAIが搭載されたサーマルカメラがおすすめです。
特に夜間や無人時間帯では、異常に気づくのが遅れてしまうと、重大な事故へとつながるケースも少なくありません。
今回は、AI搭載サーマルカメラによって工場内のリスク監視を自動化し、安全性を高める最新ソリューションについて解説しますので、最後までご覧になり導入の参考にして下さい。
目次
工場に潜む火災リスクと現場の課題
過熱トラブルによる火災は突発的に発生する
工場ではモーター、制御盤、コンベアなど多くの機械が連続稼働しています。これらの設備は使用状況によって温度上昇しやすく、配線トラブルや摩耗が原因で過熱・発煙・出火につながることがあります。
2022年の総務省消防庁のデータによると、工場・作業場における火災原因の上位には「電気的要因による火災」が含まれており、その中でも「配線器具の過熱」や「過電流による発火」が多く報告されています。特に経年劣化した設備や、夏場の高温環境での使用は、火災リスクをより高めます。
人的巡回だけでは異常を見逃すことも
日中の巡回では問題がなくても、夜間や休日の無人時間帯に異常が発生すると、発見が遅れて火災被害が拡大する恐れがあります。熱の変化は目視では分かりづらく、異常の”前兆”に気づくのは困難です。
現場によっては、巡回点検は1日に数回程度に留まっていることも多く、その合間に異常が進行してしまう可能性があります。結果として、焦げ跡が見つかった後に原因を特定する”事後対応”になるケースが後を絶ちません。
従来の監視カメラでは見逃す異常をカバー
可視カメラでは”熱”は見えない
工場では一般的に防犯目的で可視光カメラが設置されていますが、これらは「光で見える範囲の映像」を記録することに特化しており、配線やモーターの過熱といった目に見えない異常には対応できません。煙や炎が発生して初めて異常が発覚するため、既に手遅れというケースも多いのです。
特に制御盤内や機械の裏側など、目視しづらい箇所の温度変化には可視カメラでは限界があります。可視カメラは異常の”結果”は映せても、”前兆”は捉えられないという構造的な弱点があります。
サーマル+AIだからこそ実現できる予防型監視
これに対してサーマルカメラは、熱源そのものを可視化できるため、設備の異常加熱や負荷の偏りなど、火災の”兆候”を事前に捉えることが可能です。AIが搭載されていれば、自動的に異常を認識・通知できます。
サーマルカメラなら発火前の温度異常を捉えられる
温度を”見える化”してリアルタイム監視
サーマルカメラは、物体から発せられる赤外線を検知して温度分布を画像として表示します。これにより、異常加熱している機器や配線部分を、目視より早く正確に発見できます。
たとえば、制御盤内で一部のリレーだけが異常加熱している場合、外からは見えなくてもサーマル画像では温度上昇が明確に表示されます。これにより、点検・メンテナンスのタイミングを「予防的」に計画でき、故障や火災の芽を摘むことが可能です。
AI搭載で異常を自動検知・アラーム通知
AI搭載モデルでは、あらかじめ設定したしきい値を超える温度を検出した際、自動的にアラームを発報。現場に担当者がいなくても、遠隔で即時対応できる体制が構築できます。
NSKの「IP-P8104TP」が工場監視に適している理由
広範囲をカバーするデュアルレンズモデル
「IP-P8104TP」は、サーマルカメラと可視カメラを1台に搭載しており、熱画像と通常の映像を同時に取得できます。発熱箇所の特定と現場の状況確認を1台で完結できるのが強みです。
従来の単眼カメラでは、温度異常の箇所とその背景環境(現場の作業員の位置、周囲の装置状況など)を同時に把握することができず、後からの分析や対応が遅れがちでした。デュアルレンズモデルは、記録された映像の中に熱画像と可視映像を重ね合わせて表示できるため、点検・報告の効率化にもつながります。
高温検知対応&過酷な環境でも稼働
「IP-P8104TP」は最大550℃までの温度検知が可能で、鋳造・溶接・焼成など高温作業を伴う工場においても正確に温度変化を記録できます。
また、防塵・防水性能(IP66相当)を備え、油煙・水蒸気・粉塵が舞う過酷な現場環境にも対応。設置後のトラブルリスクが低く、メンテナンス頻度も抑えられるのが特徴です。
AI映像解析と遠隔監視に対応
AIによって異常温度の自動検知、対象分類、警報連携が可能なだけでなく、クラウドベースの映像保存や遠隔モニタリングにも対応しています。これにより、管理者は現場に常駐せずとも、PCやスマートフォンから工場の安全状態をリアルタイムで確認できます。
複数拠点に工場を保有する企業でも、全拠点のカメラを一元管理できる環境を構築でき、経営・保全部門にとっても大きなメリットとなります。
導入時のポイントと注意点
どの設備を重点監視するかを明確に
工場の敷地が広大な場合、火災や事故のリスクが高いエリアと、そうでないエリアを分類したうえで、監視体制を最適化することが重要です。具体的には、以下のように分類し、重点監視とサポート監視を使い分ける設計が効果的です。
重点監視エリアの選定
経年劣化した古い制御盤やブレーカー
高温処理を行う炉・ボイラー・溶接機周辺
24時間稼働しているモーターやコンベア装置
トラブル履歴のある装置や電源設備
化学薬品や可燃物を扱うエリア
これらのエリアには、常時監視が可能なサーマルカメラの固定設置を推奨します。
AI機能を活用すれば、異常温度に加えて、立ち入り禁止区域への人の侵入や、一定時間を超える滞在の検出も可能です。
一般エリアの監視方針(人の出入りがある通常設備ゾーン)
工場全体に常時監視カメラを配置するのは現実的でない場合、以下のような代替策を取り入れましょう:
定期的に移動させられる三脚型またはポータブルサーマルカメラの活用
点検タイミングに合わせてサーモグラフィーでスポット確認
広範囲を網羅する俯瞰型カメラを高所に設置し、AIによる異常検知をサポート
これにより、設備投資を抑えつつも、通常稼働ゾーンにおける異常発見の精度を一定以上保つことができます。
広域エリアの統合監視戦略(敷地全体の見守り用途)
広範囲の監視が必要な場合は、全体を俯瞰できる高所へのカメラ設置と、重要ポイントとの連携を組み合わせることで、監視の精度と運用効率を両立できます。
AI活用による警備・保全の負担軽減
AI機能を活用すれば、異常が発生した際の映像抽出や履歴分析も自動化でき、警備や保全業務の負担軽減にもつながります。映像を人の目で確認せずとも、異常時の記録を迅速にピックアップできるため、対応のスピードと精度が大幅に向上します。
高危険エリアにおける人物検知の重要性
加えて、化学薬品を扱うエリアや危険物保管庫など、人の立ち入りが制限される高危険エリアでは、AIによる人物検知や滞在時間の監視、立ち入りの有無を記録する機能が非常に有効です。異常温度と同時に「人がそこにいたかどうか」まで判断できるAI機能は、事故時の原因特定や再発防止にもつながります。
設置後の運用ルールを定めておく
サーマルカメラを導入するだけでは、トラブル回避は不完全です。発報時のフローや担当者の割り当て、定期点検・記録保存ルールなどを事前に整備しておくことで、初動対応のミスや連携漏れを防ぐことができます。
特に夜間や休日の異常検知に備え、遠隔通知の設定や、緊急時の対応マニュアルも併せて準備することが重要です。
まとめ
工場における火災リスクは、発生してからでは手遅れになることが少なくありません。AI搭載のサーマルカメラを活用することで、異常の兆候を即座に捉え、対応スピードを大幅に高めることが可能です。
「IP-P8104TP」は、高温対応・屋内外対応・AI検知機能を備えたモデルとして、工場現場に最適な選択肢の一つです。既存の防犯カメラでは補えない”熱の異常”を補完し、重大事故の予防に貢献します。
安全対策の一環として、サーマルカメラの導入をぜひご検討ください。
もし、AIカメラの選び方について不安に感じている方、詳しい情報が知りたいという方は、お電話もしくはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。
弊社専門スタッフがお悩みやお困りごとをヒアリングさせていただき、お客様のニーズに合った最適なご提案をさせていただきます。
NSKと一緒に、セキュリティレベルの高い防犯対策や効率的な運用のシステム構築をしていきましょう。
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