AIを搭載した防犯カメラあるいは監視カメラは、従来のカメラよりも、高い性能が備わっているため、防犯や業務効率などに大きく貢献してくれます。
しかし、その高度な性能の反面、AIカメラには設置するデメリットやAIカメラならではの弱点もあります。
今回は、AIカメラの概要や設置する際のデメリットや技術的な限界などについて解説していきますので、ぜひ最後までご覧になり参考にしてください。
目次
AIカメラの概要
AIカメラは、従来の防犯カメラや監視カメラにAI(人工知能)を搭載した高性能なカメラで、AIを搭載することによって、自動的に映像解析を行い、カメラに映った人物を特定したり、犯罪を実行しようとする不審な人物の動作を自動検知することができます。
そして、異常が起きた場合、連携されたデバイスに即座に通知され、リアルタイムの映像を確認することができたり、または警告音や音声による警告により、不審者の威嚇や犯罪を未然に防いだり、犯罪が起きた場合でも、迅速かつ適切な対処を施すことができるため、事件を早期解決することにも繋がります。
また、従来の防犯カメラや監視カメラと比較しても、性能において格段に優れている特徴が多数あるため、さまざまな業界でも活躍しています。
AIカメラの主要なデメリットとは?
優れた性能が備わっているAIカメラですが、主要なデメリットについて解説していきます。
初期導入コストの高さ
まずAIカメラのデメリットとして従来の防犯カメラや監視カメラよりも初期費用の高さがあげられます。
AIカメラの導入時にかかる費用の内訳としては、カメラ本体の費用、ソフトウェアなどのシステム設定費用、インターネットに接続するためのネットワーク構築費などがあげられます。
実際にかかる具体的な金額は、一台10万円相当から、多機能高性能なAIカメラだと60万円ほどモデルも販売されており、決して安くはありません。
しかも、AIカメラを設置するにあたり、1台の設置のみというケースは少ないため、合計費用が数十万~数百万になることが考えられます。
ただし、補助金などを利用することができる場合は、かなりコスト削減につながるため上手に活用しましょう。
定期的なメンテナンスコスト
AIカメラは、ネットワークを構築したりクラウドサーバーを利用したり、専用のソフトウェアやアプリを利用することになります。
そのため、定期的なメンテナンスを実施する際に、カメラ本体だけでなく、ソフトウェア面のメンテナンスやアップデート、グレードアップなどを行う必要も考えられます。
また、AIは精密機械になるため従来のカメラを修理やメンテナンスにかかる費用が高くなることも考えられるため、メンテナンスコストをよく考慮し、運用計画を策定するなどAIカメラの導入前からしっかりと検討しましょう。
技術依存によるトラブル
AIカメラは、AIを搭載したことにより、高いレベルの監視や防犯を行うことができますが、設置や初期設定、運用中での調整など専門知識が必要となります。
特に、運用中はAIのアルゴリズムの調整や、誤検知を減らすための設定変更が求められる場合があるため、一般的な監視カメラに比べて、システムの理解や管理に多くの時間とリソースが必要となり、特に技術に詳しくない企業や施設にとっては大きな負担となってしまう可能性が考えられます。
他にも、AIカメラが優れた判断を行うことができるため、監視担当者や管理者がAIの結果に依存しすぎて、自らの判断力を使わなくなることも考えられます。
そのため、異常事態に対する柔軟な対応や状況判断が鈍化してしまう恐れや、AIのシステムが誤作動を起こしている状態にも気付かず適切な対策が遅れるリスクなどがあります。
【対策】
・監視スタッフの定期的な確認:AIカメラが異常を検知した際に、人間が最終確認を行い、誤認識や誤報を防ぐ。
・対応マニュアルの整備:障害や異常発生時に、スタッフがどのように対応すべきかをまとめたマニュアルを事前に作成し、トレーニングを行う。
誤認識によるトラブル
AIカメラは、不審者の検出や危険行為の監視に役立つ一方で、高精度ではあるものの100%完璧ではないため、稀に無関係な人物を誤って不審者として認識してしまうリスクもあります。
照明条件や天候、障害物などの環境要因が、AIカメラのパフォーマンスに影響を与えることもあります。
たとえば、夜間や天候が悪い条件下では、カメラのセンサーが人影や動きを正確に捉えきれず、通常の行動をしている人を「異常」として警報を発する可能性が考えられます。
【対策】
・誤検知データを利用した学習:誤検知の事例を記録し、AIにそのデータを学習させることで、同様の誤りが繰り返されないようにする。
・状況に応じた設定変更:設置場所や利用目的に応じて、AIカメラの感度や検知範囲の設定を調整する。
・運用状況の見直し:システム導入後、一定期間ごとに誤検知の発生率や原因を分析し、運用方法やシステム設定の見直しを行う。
プライバシー問題
AIカメラは監視レベルが高くなる一方で、個人のプライバシーを侵害する可能性もあります。
例えば、市街に監視カメラを複数台設置するケースを考えた場合、特定の人物がいつどこにいるのかを追跡することさえ可能になります。
AIカメラによって取得した個人の足取りが分かる追跡情報が、悪意のある第三者に渡ってしまうと、個人のプライバシーを侵すことにつながる危険があるでしょう。
顔認識技術を搭載したAIカメラは、特定の人物をリアルタイムで識別・追跡することができます。これは、防犯や犯罪抑止に役立つ一方で、個人が知らないうちに自分の顔データが収集・保存され、不適切な利用をされるリスクがあります。
【対策】
・表示看板や告知:AIカメラが設置されている場所では、カメラの存在と目的を知らせる看板や告知を設置し、個人にカメラでの監視が行われていることを理解してもらいます。
・データの暗号化:収集された映像や個人情報は暗号化して保存し、外部からの不正なアクセスを防ぎます。これにより、万が一サーバーが攻撃されても、データが悪用されるリスクを最小限に抑えます。
・プライバシーポリシーの明確化:AIカメラの運用に関するプライバシーポリシーを明確にし、どのようにデータを扱うかをユーザーに説明することで、透明性を確保します。
AIカメラの弱点:技術的な限界
AIカメラは多機能・高精度で従来の防犯カメラよりも優れていますが、AIにもまだまだ弱点が存在するので、一つずつ解説していきます。
誤検知と感度の問題
まず、最初にあげられるのは、誤検知と認識感度の問題です。
AIカメラでは、不審者を自動検知して監視者に自動通知する機能が備わっています。
しかし、AIカメラが常に正しく、不審者を認識できるかというと、そこには課題があります。
事前にAIカメラに登録してあるスタッフも、不審人物と誤って認識してしまうという弱点があるからです。
また、AIカメラの検知感度が敏感過ぎて、問題になることもあります。
例えば、田畑の農作物を窃盗から守るAI防犯カメラの場合、その検知感度の良さから、野鳥や野生のイノシシなどが田畑に接近しただけで、異常だとAIが判断し、監視者へ誤通知してしまうこともあります。
環境要因による性能低下
AIカメラの弱点としてあげられるものに、環境要因によるAIカメラの性能低下があります。
AIカメラの性能は、カメラ本体の性能だけでなく、AIカメラと接続するコンピューターの演算処理能力にも依存します。
AIカメラの性能に見合ったスペックを持っているコンピューターを問題なく揃えられれば良いですが、導入コストの面から監視用コンピューターの性能を下げてしまうと、AIカメラからの情報をスムーズに処理することができず、高い監視レベルを維持できないという問題が発生してしまいます。
AIによる偏見・バイアスの影響
AIは過去のデータをもとに学習し、判断を行いますが、使用されているデータが偏っている場合、AIの判断にも偏見やバイアスがかかる可能性があります。
たとえば、特定の属性の人物を過剰に検出する傾向が出る場合や、一部の状況で機能しないことが考えられます。
そのため、AIが絶対的な存在として信用されすぎてしまうと、こうした偏見やバイアスによる判断ミスが見逃されてしまうことにも影響されます。
AIのデータが偏らない・精度を高めるためにも、人間の目でも定期的に映像データをチェックすするなど、2段階での確認作業をすることも重要となります。
AIカメラのリスクとは?
AIカメラのリスクにはどんな事項があるかを解説します。
クラウドサーバーへの依存によるリスク
多くのAIカメラシステムは、クラウド上でデータを保存し、解析を行います。
しかし、クラウドサービスを利用することで、セキュリティが不十分であった場合、サイバー攻撃の標的となりやすくなります。
・クラウドサービスのハッキング:もしクラウドサーバーがハッキングされた場合、大量の映像データが流出する可能性があります。これにより、機密情報や個人のプライバシーが漏洩し、甚大な被害をもたらす可能性があります。特に、多数のカメラを管理する企業や政府機関などがターゲットになりやすいです。
・依存のリスク:クラウド依存度が高い場合、自社でデータのバックアップを管理していない企業や組織は、クラウドサービスが停止した瞬間に全てのデータにアクセスできなくなるというリスクがあります。特に、長期にわたる停止や障害が発生した場合、運用の継続が困難になる可能性があります。
・ピーク時の負荷:特に監視システムでピーク時(例:交通量が増加する時間帯や特定のイベント中)に大量のデータを同時に処理する際、クラウドサーバーがオーバーロードするリスクがあります。これにより、システム全体の遅延や停止が発生する可能性があります。
サイバー攻撃の脅威
AIカメラはインターネットに接続するため、クラッキングなどのサイバー攻撃を受けることもあります。
日本へのサイバー攻撃件数は年々増加しており、警視庁の調査によれば、2022年に日本国内で検知されたサイバー攻撃とされる不正アクセス件数は、1日あたり暫定値で7707件もあり、決して少なくはありません。
万が一、サイバー攻撃された場合、「カメラの乗っ取り」や「マルウェア感染」などのリスクが考えられます。
・カメラの乗っ取り:ハッカーがカメラシステムに侵入し、AIカメラを不正に操作したり、監視映像を閲覧・改ざんする可能性があります。特に、セキュリティ対策が不十分なカメラでは、これが重大なリスクとなります。
・マルウェア感染:AIカメラのソフトウェアやファームウェアが最新の状態でないと、マルウェア感染のリスクがあります。カメラ自体が感染するだけでなく、ネットワーク内の他のデバイスにも悪影響を及ぼす可能性があり、企業や施設全体のITセキュリティが脆弱になることがあります。
誤用や悪用のリスク
AIカメラの強力な監視能力や分析能力は、本来の目的以外に誤用や悪用されるリスクを伴います。
・ 監視の濫用:AIカメラが意図的に不正な目的で使用される可能性があります。例えば、個人の行動やプライベートな情報を収集し、それを第三者が不正に利用するケースや、従業員や市民に対する過度な監視に使われるリスクがあります。
・差別や偏見を助長:AIアルゴリズムが持つバイアスによって、特定の個人や集団が不当に監視されたり、差別される危険性があります。これにより、職場や公共の場での不公平な扱いが発生する可能性があります。
AIカメラの注意点:導入時に知っておくべきこと
AIカメラを導入する前に知っておくことを解説していきます。
法律や規制の遵守
AIカメラは、人物の特定精度の高さから、個人の足取りを追跡できます。
しかし、個人の足取りは、個人情報を取り扱うことに繋がります。
このことは一歩間違えれば、個人情報保護法に抵触する危険をはらんでいます。
AIカメラを導入する前に、個人情報保護を守ることや、プライバシー保護を遵守することなどを考慮してから、導入する必要があります。
個人情報保護法の遵守
AIカメラは、特に顔認識や行動解析といった機能を持つ場合、個人情報保護法に従わなければなりません。
多くの国や地域で、個人データの取り扱いに厳しい規制が設けられており、これに違反すると罰則や賠償責任が発生するリスクがあります。
・日本の個人情報保護法:日本では、個人情報の収集、保存、利用、廃棄に関して厳しいルールが定められており、AIカメラが記録する映像や顔認識データが個人を特定できる場合は、この法律が適用されます。これにより、データを収集する際には明確な目的を示し、収集したデータは適切に管理・保護する必要があります。
監視カメラの利用目的とデータの取り扱いの明示
防犯カメラや監視カメラが何のために設置されているか、および収集されたデータがどのように管理されるかを明示することが重要です。
たとえば、映像は防犯目的のみで使用され、マーケティングやその他の目的には使用されないといったことを明確にします。
・データ保存期間の明確化:各国のデータ保護法では、個人データは必要な期間を超えて保存することが禁止されています。そのため、AIカメラの映像データをどれくらいの期間保存するのかを明確にし、必要がなくなったデータは適切に削除する運用が求められます。たとえば、日本の個人情報保護法では、不要になった個人データを放置すると法的リスクが発生する可能性があります。
・データの利用目的の制限:AIカメラで収集したデータは、事前に示された利用目的以外での使用はできません。たとえば、防犯目的で収集した映像データをマーケティングや営業活動に利用する場合、法律に違反する可能性があります。データの利用目的を明確にし、それに基づいたデータ処理を行うことが重要です。
公開されているガイドラインやポリシーへのアクセス提供
プライバシーを侵害しないためにも、オフィスや店舗、施設内のデータ取り扱いポリシーに関して、顧客が容易にアクセスできる方法を提供します。
例えば、公式サイトにてプライバシーポリシーを確認できるようにし、防犯カメラや監視カメラに関する詳しい情報を閲覧可能にすることで、顧客に対してデータの取扱いや利用目的などを理解してもらうことが可能となります。
導入前のセキュリティ対策
AIカメラを安全かつ効果的な運用においてセキュリティ対策が不十分だと、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクが高まり、システム全体の信頼性が損なわれる恐れがあります。
AIカメラ導入前のセキュリティ対策は、サイバーセキュリティ、データ管理、クラウドのセキュリティなど、多面的なアプローチが必要となります。
また、アクセス制御やデータの暗号化、定期的なアップデートと監査を徹底することで、カメラシステムの安全な運用が可能となります。
他にも、従業員が不正なアクセスを防ぐために、フィッシング攻撃やソーシャルエンジニアリング(人間を騙す手法)に対する警戒心を持たせセキュリティ意識を高めることも、重要な対策の一つです。
まとめ
AIカメラには技術的な限界やプライバシーリスクなどのデメリットがあります。
また、誤認識や誤検知、リアルタイム処理の負荷、環境による性能のばらつきといった課題があり、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクも懸念されます。
しかし、AIカメラは高度な監視や防犯機能を提供し、迅速な対応が可能であり、犯罪抑止やセキュリティ強化、さらには業務効率化などにおいて非常に有効的なツールとなります。
適切なセキュリティ対策や透明なデータ管理を徹底するなど一つ一つデメリットに対策を施すことでリスクを最小限に抑えることができ、AIカメラを最大限に有効活用することに繋がります。
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