太陽光発電所では、「送電ケーブルの盗難」が深刻な問題となっており、特に夜間による被害が多いため、暗闇でも侵入者を捉えられる監視体制としてサーマルカメラがおすすめです。
今回は、送電ケーブルの盗難防止は、サーマルと可視の両方に対応したAIカメラの有効性について解説し、サーマルカメラの特徴や導入のポイント、注意すべき点について詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までご覧になり導入の参考にしてください。
目次
太陽光発電所で相次ぐ送電ケーブルの盗難被害
太陽光発電は街から離れた広大な土地に設置されていることが多いため、人の気配もなく、夜間は街頭もないため真っ暗な環境が多いです。
そのため、送電ケーブルを狙った窃盗グループによる盗難事件が多発しており深刻な問題となっています。
銅価格高騰でケーブルが狙われている現状
近年、銅の価格が高騰していることと、閑静で広大な敷地にもかかわらず警備や防犯対策が手薄なことから全国各地で太陽光発電所にて「送電ケーブルの盗難」が相次いでおり、年々被害が増えています。
特に狙われているのは、地中や架空に敷設された高価な銅製ケーブルで、数百メートル単位で盗まれる被害も少なくありません。
環境省の報告書によると、再生可能エネルギー関連施設への盗難被害は2020年以降、特に地方の中小規模発電所で急増しており、盗難件数は前年比約1.5倍のペースで増加しているようです。
夜間・無人時の警備の限界とリスク
太陽光発電所のような広大で人通りの少ない場所は、夜間になると完全に無人となることも多く、街灯もない暗闇であることから犯罪のリスクが高まります。
防犯対策としてフェンスや簡易ゲートを設置するものの、それだけでは切断や突破が容易で、監視の目が行き届かないのが実情です。
また、現地警備員を常駐させるとなると高額な人件費がかかる一方、可視カメラだけでは夜間の視認性に限界があり、録画映像を確認して初めて被害に気づくケースも多く見られます。
修復コストの現実的な損失
被害額にはケーブルそのものの損失に加え、発電停止による売電収入の損失、復旧工事の人件費や機材費が発生します。
また、多くのケースで保険の適用外とされるため、実質的な損害は事業者の自己負担となる可能性が高いのが実情です。
ある事業者の事例では、送電ケーブル数百メートルの盗難により、復旧までの2週間で数百万円の損害が発生したという報告もあります。
再発防止策を講じるには、より高度で信頼性の高い監視システムが求められます。
暗視カメラよりもサーマルカメラの方が有効?
暗視カメラ(赤外線カメラ)は、低照度下での視認性を高めることができる一方で、完全な暗闇や霧・煙・遮蔽物越しの監視には限界があります。
赤外線照射型のモデルでは赤外線LEDの届く範囲しか映せず、距離や角度により死角が発生しやすいという課題もあります。
一方、サーマルカメラは熱を視覚化するため、光に依存せず人物や車両を検知できるという大きなメリットがあります。
完全な暗闇でも可視化できるのはもちろん、背後からの接近やブラインドエリアの熱検知も可能で、実際の犯罪抑止・対応の面で高い有効性が確認されています。
さらに、太陽光発電所のように広く人の目が届かない敷地では、赤外線の到達距離に限られる暗視カメラより、長距離・広範囲の熱源監視が可能なサーマルカメラの方が有利です。
特にケーブル付近を這うような動きにも反応できるため、盗難防止においては高いパフォーマンスを発揮します。
このように、光がない環境での可視性・検知精度を求める場合、サーマルカメラは暗視カメラに比べて圧倒的な効果を発揮します。
実際、近年では発電所や建設現場など高セキュリティを要する現場で、サーマルカメラが主流になりつつあります。
盗難防止にはサーマル+ビジュアルの“AIカメラ”が有効
送電ケーブルの盗難防止にはサーマルとビジュアルの2つの機能を兼ね備えたAIカメラが有効とされている理由について紹介していきます。
サーマルカメラとは?暗闇でも侵入を検知できる理由
サーマルカメラは、人や動物などの体温を含む熱源を検知するため、完全な暗闇でも侵入者を捉えることが可能です。
これにより、不審者の接近を早期に察知し、警備員への通報やアラーム発報といった初動対応につなげられます。
可視カメラと組み合わせた「デュアルモデル」のメリット
可視光カメラを組み合わせたデュアルレンズモデルであれば、熱源検知だけでなく「映像記録」も同時に行えます。
これにより、万が一の際の証拠映像として活用することができ、抑止力も向上します。
AIによる人物・車両識別で誤検知を大幅に低減
AI技術によって人物・車両・動物といった対象物を識別し、不要なアラームを減らすことが可能になります。
風による草木の揺れや虫などに反応する誤検知を抑えることで、運用の効率性と信頼性が格段に高まります。
また、録画映像からAIが特定対象のみを抽出することで、長時間の映像確認作業も大幅に軽減できます。
これにより、担当者の業務負担も削減されます。
NSKの「IP-P8104TP」は盗難対策にも最適なモデル
送電ケーブルの盗難防止対策としてNSKが販売している「IP-P8104TP」のモデルについて紹介していきます。
広範囲監視に対応するスペックと設計
「IP-P8104TP」は、サーマルと可視光の両方に対応したデュアルレンズ搭載のAIカメラです。
防犯用途に特化したさまざまな機能を備えており、太陽光発電所のような過酷な環境でも安定稼働します。
視野角や画素数、測定可能温度範囲(-20℃〜550℃)など、精密な監視が求められる現場に十分対応できるスペックを持ち、最大で500m以上の遠距離監視も可能です。
敷地全体の把握に最適な設計です。
防塵・防水・望遠対応の屋外向け性能
本機はIP66相当の防塵・防水設計で、雨風や砂埃にさらされる屋外環境下でも耐久性に優れています。
また、望遠対応の高性能レンズを搭載しており、遠方からの監視でも細かな動きを逃しません。
AI連携機能によるスマート警備の実現
「IP-P8104TP」はAIによる人物・車両の識別やアラーム発報だけでなく、遠隔モニタリングやスケジュール録画といった次世代のセキュリティにも対応しています。
警備員が常駐できない発電所において、24時間体制のスマートな防犯体制が構築できます。
加えて、既存の監視システムに追加設置する形でも導入可能なため、新設・既存問わず柔軟に対応できます。

IP-P8104TPのカタログをチェック
AI搭載サーマルカメラ導入の注意点
AI搭載サーマルカメラを導入するメリットは大いにありますが、導入する際の注意するポイントを紹介していきます。
死角をなくす配置計画の重要性
導入時は、施設の地形や送電ケーブルの配線ルート、既存のフェンスやゲートの位置などを考慮して、死角ができないようカメラの設置場所を計画する必要があります。
複数のカメラを連携させることで、広範囲を効率的にカバーできます。
通信・電源環境の整備と遠隔運用
AIカメラの多くはインターネットを介してリアルタイムで映像を確認・操作できるため、ネットワーク環境の整備も重要です。
また、太陽光発電所のように人の出入りが少ない場所では、安定した電源供給も求められます。
必要に応じてソーラーパネルやバックアップバッテリーを併用する構成も検討しましょう。
パネル監視との役割分担に注意
サーマルカメラは熱を検知するため、異常な温度変化による火災の兆候も捉えられますが、太陽光パネルの異常検知に関しては必ずしも常時カメラで行う必要はありません。
パネルの不具合確認は、年次点検やドローン撮影による赤外線診断などで対応できるため、常設のサーマルカメラには「盗難防止・侵入検知」という明確な目的を持たせることが、コスト面からも現実的です。
まとめ
太陽光発電所における最大のリスクは火災ではなく「送電ケーブルの盗難」です。
人目が届かない広大な敷地での夜間監視には、サーマルとビジュアルの両方を備えたAIカメラが最適です。
特に「IP-P8104TP」は、AIによる侵入検知、遠隔アラーム、長距離対応といった高度な機能を備え、防犯対策と効率運用を両立できる実用的な選択肢です。
「すでに可視カメラはあるが盗難が心配」「より広域かつ確実な監視をしたい」とお考えなら、サーマルカメラの導入または買い替えをご検討ください。
もし、AI搭載のサーマルカメラの導入や買い替えについて不安に感じている方、もっと詳しい情報が知りたいという方は、お電話もしくはお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。
弊社専門スタッフがお悩みやお困りごとをヒアリングさせていただき、お客様のニーズに合った最適なご提案をさせていただきます。
NSKと一緒に、セキュリティレベルの高い防犯対策や効率的な運用のシステム構築をしていきましょう。
株式会社NSKは監視カメラ・防犯カメラ・セキュリティ機器のメーカーです。
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